「就活に必須」ともいわれるインターンシップ。本紙6月号は就活特集ということで、独自にアンケートを行い、長期・短期インターンシップ経験者の声、また未経験者の声を集めた。就活を始めいる人も出てきた3年生、そしてインターンに興味のある1、2年生も、先輩や同期の意見をぜひ参考にしてみてはどうだろうか。

 

長期・短期インターンシップの違い

そもそもインターンシップとは、社会に出る前の就業体験を通じて、仕事や企業、業界、社会への理解を深められる制度のこと。長期インターンシップの場合は、その多くが有償であり、実施期間は数日~月単位などさまざま。一方、短期インターンシップでは、就活生を対象に、あらかじめ企業が準備したプログラムを行うことが多い。期間は基本的に1日~1週間ほど。2025年卒の就活からインターンシップの制度が変わり、いわゆる短期インターンと呼ばれていたものは、オープンカンパニーやキャリア教育と称するようになった。企業によって名称、内容に変更が生じる可能性があるため、エントリー時に確認するのがおすすめだ。しかし、現在でも多くの企業がインターンという言葉を使い続けていることを考慮し、本記事でも短期インターンシップという表現を用いることとする。

 

 

長期インターンシップ経験者の声

調査によると、長期インターンは2年生の春から始めている人がやや多かった。4年生まで続ける人もいれば、3年生の春で区切りをつける人も。長期というだけあって半年~1年以上続けている人が多い印象だ。

その探し方で最も人気だったものは、知り合いからの紹介。次に多い順に、SNS、長期インターンの紹介サイト、就活サイト、企業のホームページという結果だった。

では、長期インターン選びにおいて重要視する要素はなんだろう。圧倒的に多かったのは、「興味ある企業・業界かどうか」と「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)になりそうか」の二つ。また、長く働く、給与が出るという特徴から、「出社かオンラインか」「時給の良さ」もポイントになるようだ。インターンシップの中には、そのままその企業の内定につながることもあることから、「内定直結型か」という要素を重視する人もいた。

最後に、長期インターンを経験して役に立ったことと注意点として寄せられた意見を原文そのままで紹介しよう。

 

○役に立ったこと

・どれくらいその業界に本気で就職したいのか示すことができる。その業界の最先端の会社でインターンしていたので、業界全体の話や他社との比較を自分の経験で話しやすかった。

・社会人としての基礎(報連相の大切さ・ドキュメントやエクセルの使い方)を学んだ。業界のリアルを学べた。

・単純に「ガクチカ」として話せるエピソードになった。チームワークを経験したり、自身の仕事の向き不向きを自覚したりするきっかけになった。

・デスクワークの肌感が得られる。ビジネスワードを覚えられる。

・人脈の広がり

・面接でかなり評価してもらえた。

・まだわからないですが、話せることに悩むことはなさそうです!

・長い文章を書くことに抵抗がなくなった。タスク管理の習慣がついた。

 

○注意点

・学業を阻害しないか

・行きたいと思ってた業界が行きたくなる可能性があるので、その覚悟があった方がいいです。逆に興味あるならリアルを知るためにおすすめです。

・ガクチカになりそうかというより、やりたい仕事を長期インターンで経験してみよう!というようなマインドが結局いいのかなと思います。就活で長期インターンについて聞かれた質問で一番多かったのは、そこであげた成果よりも「どうしてそこで働こうと思ったの?」でした。

・出来高ではなく時給のインターンに応募すること(やりがい搾取を防ぐため)。

・学業との両立

・歩合制のところなどは、大きな月収が見込める一方、割に合わない月も普通にあるので、その辺りは注意だと思います!

・就活に本当に直結するか、吟味した方が良い

・業務内容がピンキリなので、自分が成長できないと感じたらすぐにやめて他を探す勇気を持つといいと思います。

 

このように、自身のスキルアップになったり就活準備ができたりということがメリットとして挙げられた。一方、インターンシップを経験することで予想外な業界のリアルが見えることや、歩合制などの制度には注意した方がよさそうだ。

 

 

短期インターンシップ経験者の声

短期インターン参加時期の最多は3年生の夏だった。続いて3年生秋・冬が多かった。少数ではあるが1、2年生で参加している人も見受けられた。

こちらの探し方は、就活サイトと企業のホームページが7割以上を占める。他にも、知り合いや大学からの紹介でも探せるようだ。

短期インターン選びにおいて重要視する要素は、長期インターンと同様「興味がある企業・業界かどうか」が第一位に。実に経験者の8割がこの要素を重要視したという結果に。また、興味深いのが、長期インターンシップよりも「内定直結型か」を重視する人が多かったこと。内定直結型のインターンは早期選考につながりやすいことから、本選考開始前に実施される短期で内定獲得を狙う姿勢が示唆される。

そして以下に、短期インターンを経験して役に立ったことと注意点を紹介しよう。

 

○役に立ったこと

・研究室の教授のスタートアップだったので、研究内容への理解が深まった。

・早期選考がある。人事と仲良くなる。企業理解が深まるし、本気度が示せる。

・インターン経由での選考で内定がもらえた。ファーストキャリアを選ぶために必要な情報を得ることができた。

・何も分からなかったけど、少し業界について理解できました。ベンチャーに参加したので、長期インターン選考にも有利に働いたと思います。(そこで長期インターンはしていませんが)

・インターンシップ参加者のみに案内される選考があったり、そもそもインターン経由で採用枠が大部分埋まってしまう企業があったりと、就活のスタートダッシュで成功できた。

・選考に直結する(優遇を受けられる)ため、内定に繋がりやすい。企業分析に役立つ。自分に合う業界・企業かどうかを見極められる。

・採用担当者に顔を覚えてもらえた。業務への理解が進んだ。

・社員さんの雰囲気を知ることができた。早期選考に繋がった。

 

○注意点

・短い期間で業界・企業のことを学ぶことができるので色々受けるのがおすすめです。

・志望業界以外も応募して参加してみたら案外よかった、なんてことも度々ありました。選考を通過したということは、少なからず適性があるということ。新卒就活生という身分になれるのは今だけなので、自分のまだ見ぬ可能性を楽しんで探ってみては。

・選考倍率が高いため、参加には対策必須。インターン当日も、良い立ち回りをしなければ、内定に繋がらない(インターン参加・早期選考の無能<本選考の有能)。

・実際の部署内に入って仕事が出来るプログラムだと、その企業の社員の様子や仕事の仕方がわかるので、おすすめです。

 

短期インターンは、短期間で企業理解ができるというメリットを活かしさまざまな企業・業界をみてみることが大事だという意見が目立つ。内定に結びつくケースもあるため、特に志望度の高い企業のインターンは参加する価値が大いにありそうだ。しかし、ただ参加すればよいというわけではなく、参加中もよい動きをすることが求められるというシャープな意見も。

 

インターンシップ未経験者の声

ここまでインターンシップ経験者の声をお届けしてきたが、今回の調査に協力してくださった人のなんと76%がインターン未経験者だった。ここからは、これからインターンを始めたいと思っているあなたに、仲間の声もお聞かせしよう。

まず率直にインターンシップに対するイメージを聞いてみたところ、多くの意見が寄せられた。大多数のイメージはやはり「就活に有利」だということ。話すネタになる、就活で必要な能力がわかるといった点で他の就活生に差がつけられる。他にも、「経験値やスキルアップになる」「自分の将来像を想像できる」「企業の雰囲気がわかる」といった意見が。こうしたイメージがインターンのメリットとして学生の間に浸透しているようだ。

インターンシップを経験したいかという質問に対しては、17%が長期インターンを、57%が短期インターンを経験したいという回答に。どちらも経験したいと答えた人は33%で、経験しなくてもよいという回答は0であった。長期と比べると短期の方が人気であり、ほとんどの学生がインターンへの参加の必要性を感じているようである。

こうしたインターンシップについて、情報収集を「している」と答えた人は37%であった。収集方法として人気だったのは、就活サイトと企業のホームページであり、知り合いに聞いたり、SNSで情報を集めている人も一定数いるようだ。また、少数派ではあるが学校募集のページを確認する、就活面談にいくという意見もあり、大学を上手く活用するのもひとつの手だ。

 

インターンシップ意識調査を通して、長期・短期インターンシップ経験者の生の声、そして未経験者のインターンシップへの意識についてご紹介してきたが、いかがだろうか。現在進行形でインターンシップに参加している人、これからインターンシップへ足を踏み出すという人に、少しでも参考にしていただければ嬉しい。

鬼木元子