就職活動への意識が高い塾生が一度は聞いたことがあるであろう、「インターン」の言葉。しかし、言葉としては知っていても、その詳細については知らない塾生が多いのではないだろうか。

リクルート就職みらい研究所 『就職白書2024』より引用
※産学協議会作成「何が変わるの?これからのインターンシップ」P7〜8などをもとに就職みらい研究所にて作成

令和5年度からインターンシップの取り扱いが大きく変わり、インターンシップなどの学生のキャリア形成支援に係る取組が上図のように4つに類型化された。従来、短期インターンシップと呼ばれていた1day仕事体験などの上図タイプ1は、現在では正確にはインターンシップとは称さなくなった。本記事では塾生の多くが関係するであろう、タイプ1(従来の短期のプログラム)とタイプ3(従来の長期のプログラム)について、就職活動情報サイト『リクナビ』の副編集長を務める株式会社リクルートの森田友幸さんに話を聞いた。

 

──インターンシップのメリットについて教えてください。

わかりやすい目的は大きく2つあります。1つは自分自身の興味関心のある職種や会社での体験を通じて、より深く仕事内容を知ること。かつインターシップでは実務を体験するので、自身のスキルや経験は社会に出てどのくらい通用するのか、自分の持ち味は社会で本当に発揮されるか、といったことを知れる良い機会になります。

もう1つは、社会にどういう企業があるのか、社会のビジネスの構造はどうなっているのかを知ること。まだあまりわからない学生の場合、半日や1日~2日等の短期で開催される4類型の「オープンカンパニー」と称されるプログラムや説明会に参加することで、多くの会社についての知識をつけ、視野を広げることができます。

 

──インターンシップとオープンカンパニーのメリットとデメリットそれぞれ教えてください。

オープンカンパニーは半日や1日で完結するプログラムが多いので、たくさん参加しやすいです。説明会やオープンカンパニーに複数参加して、自分が何に興味を持てそうか、どのような会社があるのかなど、視野を広げられるのは非常に大きなメリットだと思います。

デメリットは、インターンシップと比べると、その企業について深くは知れないということです。

一方、インターンシップのメリットは、深くその企業や職種を知れることです。職場に行き、社員のコミュニケーションを見たり、オフィスの雰囲気を感じ取ったりする事によって、文字では伝わらない会社の本当の姿を知ることができます。また、実際に働いてみて、社員からのフィードバックがもらえたりもするので、自分の適性をより詳しく知ることができます。

デメリットになりうることは、比較的長い期間ですので、学生にとってスケジュールの調整が大変だということです。また、選考が行われる場合もあり、オープンカンパニーよりも参加難易度は高くなります。

 

──インターンシップを始めるタイミングについて教えてください。

大学3年生または大学院1年生の6月に企業への実際の応募が開始されることが1番多いです。タイプ1タイプ3問わず、両方とも夏休みに1番多く開催されています。

いつから始めればいいかということに関しては、正解がないので目的次第です。企業はインターンシップにたくさん行っている人を採用したいわけではありません。今は自分で問いや目的・ゴールを立てて、そこに向けて経験を積み、PDCAサイクルを回す力がとても求められています。インターンシップに多く参加したからといって、就職活動が有利になるわけではないです。

学生の中で、インターンシップに参加すると選考に有利と言われているのは、インターンシップで優秀と企業に認められた人は就職活動において1次選考が免除されるなど、選考フローが短縮されることがあるためです。しかし、学生を採用するかしないかという観点では、インターンシップの参加事実はほとんど関係ありません。また、インターンシップの選考に落ちてしまったとしても、その会社に入社できないわけではありません。インターンシップの選考と、本採用が関係あると明言している企業もあるかもしれませんが、非常に少数です。

 

──自分に合ったインターンシップ先の見つけ方を教えてください。

すでに興味関心を持っている分野がある学生は、「リクナビ」などの就職情報サイトでフリーワードや、エリア、業界、年齢構成などの条件によって企業を絞っていけばよいと思います。

一方で、まだ自分が何に向いているかわからない学生は、今まで自分が考えていたものとは違う職種を探してみてほしいです。自分自身が持っている固定概念みたいなもののせいで、本当は自分に合っているのに、選択肢から除外してしまう、知らないからやりたいと思えないことがたくさんあると思います。ですので、まだあまり自分の興味関心がわからない人は、様々な業種・職種をオープンカンパニーへの参加などで知ってもらうのがいいと思います。

 

取材した「リクナビ」副編集長の森田友幸さん

 

──最後に塾生に学生生活を送るうえでのアドバイスをお願いします。

まずはインターンシップに参加すること自体を目的とせず、参加する目的を持って、しっかりと振り返るということが非常に大事です。インターンシップで何を得て、それを社会人になっていく上でどう生かすか、振り返りをすることによって自分自身の価値観や興味関心を深めてほしいです。

とはいえ、学生の皆さんは就職活動するために大学に入ったわけではないと思います。ですので、大学生活でやりたいことができたら、全力でやってほしいです。動機は何でもよくて、やると決めたからには目標を決めてやりきった上で、その活動を通して何が身についたのか、なぜ自分はこれにのめり込んだのかなど、どんなに小さいことでもいいので自分らしさを言葉にする作業をしてもらえるといいなと思います。貴重な4年間、あっという間ですのでしっかりと目的・目標を持って、就活・インターンシップに限らず、学生生活を充実させることを第一に置いてほしいです。

小塩啓太郎