虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズ、そして日産スタジアム。誰もが一度は耳にしたことがあろうこれらの建物の管理の一翼を担っているのは、横浜ランドマークタワ―に本社を置く「株式会社ハリマビステム」である。首都圏を中心に、デベロッパーから不動産ファンド、一般事業法人、官公庁まで、2300棟以上もの幅広い物件の総合管理事業を展開。同社の代表取締役社長であり、本学の経済学部卒である免出一郎社長(以下、免出社長)に当社の魅力について取材した。

株式会社ハリマビステム 代表取締役社長 免出一郎氏

「全ての『施設』を快適に、全ての『人』に喜びを」という経営理念からは、まさに当社の事業に対する熱い思いがうかがえる。ビルのテナントや入居者などの利用者に安心安全なサービスを提供するだけでなく、従業員の経済的な安定・賃上げ、協力会社への安定的な事業の供給、株主への積極的な還元を通じて、当社に携わる全ての人々に喜びを感じていただけるよう、試行錯誤、日々工夫を重ねている。

またPFI事業においては、大手ゼネコンなどとコンソーシアムを組成し、建物の設計段階から事業に参画している。1961年の設立から数多くの事業をこなしてきたハリマビステムの強みは、独立系総合ビルメンテナンス会社として培ってきた経験やノウハウを生かした「企画提案力」、多様な管理実績から様々な顧客のニーズに応える「コスト競争力」であり、これらが生み出す高品質なサービスは極めて高く評価されている。

今後の事業展開としては、現在総売上の1/3強を占める設備事業をより拡大させていく方針であるという。建物の空調工事企業を買収したほか、ビルの老朽化が進み、設備管理保守業務や工事の重要性が益々高まるため、臨時作業による収益拡大も狙っていく。

免出社長が当社に入社したのは3年前。当時はコロナ禍ということもあり、社員同士の交流の機会も乏しかったほか、部署間の人事異動が活発ではなかった。「人こそ財産」という免出社長の強い思いから、社員間のコミュニケーションの場である「アフターハリマ」を計画。部署や役職を一切問わないフランクな時間を作り出すことにより、垣根のないフラットな社内の雰囲気を作り出すことに成功した。

その他にも従業員の福利厚生の向上、社宅の整備、持続的な賃上げに用いる約十四億円の戦略予算を計上。また社員の外部研修や資格取得に対し、手厚い支援を行う制度を設けることで、社員が成長する機会を充実させ、定着率の向上を目指している。

他にも監査等委員会設置会社への移行や、指名報酬委員会の設置により、役員の評価に第三者の視点を取り入れることで公平に評価する仕組みを整えるなど、経営の透明性・意思決定のさらなる迅速化を進めている。

また当社は、社員一人一人が「私たちの仕事はSDGsに直結している」という誇りを持ちながら、提供するサービスを通じて社会貢献を続けている。空調設備の電力消費を効果的に抑制する設備の導入を顧客に提案し省エネを推進するほか、清掃作業に用いるゴミ袋を99%再生材から作られたものに変更し、二酸化炭素の排出量の大幅な削減を実現、環境保全に貢献している。

ビルメンテナンス事業は今や人々の暮らしに欠かせないものとなっている。特に、当社はビルのほか、病院、本学矢上キャンパスをはじめとする学校など幅広い建物に事業を展開しているため、コロナ禍でも好業績をたたき出した。

免出社長は、「不況にも強い安定感の中で、多種多様な人財が個々の能力を十分に生かし、様々な業務を通して成長できる。他社ではやっていないことに挑戦し、提案できる人財を求めている。一度きりの人生、新しいことに挑戦していってほしい。」と当社の魅力と共に、今後益々の発展を見据えた思いを熱く語った。

ハリマビステムは「周囲から『ハリマでよかった』が聞こえてくる未来」という長期ビジョンを持ち、共通の目標に向かって常に前向きな挑戦を続けていく。

(松本慎之介)