強力な投手陣を誇る法政大学の中でも、2年生からエース番号・18を背負うのが篠木健太郎投手(経営学部4)だ。昨春は、最優秀防御率を獲得。飛躍のシーズンとなったが、秋のリーグ戦で負傷、悔しい結果に終わった。今シーズンはけがからの復帰を目指す。今回は、篠木投手が理想とする投手像に迫った。
(インタビュー日=4月10日)
―高校時代、木更津総合高校でプロ注目の選手ながら大学に進学したのはどういう経緯だったのですか
僕の中でプロ1年目から勝負できる状態で この世界には行きたいと思っていたので、その高校3年生の時の自分では勝負できないと思いました。プロに入るだけでなく、プロの世界で活躍することが目標で、一年目から活躍することは自分の中で大切でした。大学の4年間を通じてプロ1位で行けるようにしたいと思っていました。
―どのような経緯から法政大学を選びましたか
中学生の時にテレビで早慶戦を見て、自分もあの舞台で野球をしたいと東京六大学野球に憧れを持ちました。高校時代に山下輝(現・東京ヤクルトスワローズ)さんや 早川隆久(現・楽天イーグルス)さんからも六大学について話を色々聞いていました。
―法政大学に進学後、自分が成長できたと思うのはどのような点でしょうか
大学生活は高校時代に比べて自分の時間が長いと思うので、その時間の中で自分のどうなりたいかとか、自分の野球する上での幹になる部分をぶらしちゃいけないし、もっと幹を太く、自分の武器になるものをもっと大きなものにしようという考えのもとでやってきました。
僕が入った時法政大学に入った時、三浦銀次さん(現・横浜DeNAベイスターズ)キャプテンでいて、今も憧れているので、高いレベルで野球やれるというのが1番いいことだと思います。
―憧れの選手として三浦銀二さんを挙げられていますが、具体的にどういう影響を受けましたか
野球部の寮が同じ部屋でした。自分は大学に入学したときはできることだけに目を向けることが多かったのですが、銀二さんは、できない自分も受け入れるというか、自分を受け入れながら野球に対する姿勢だったり、熱量に憧れを持ちました。試合でマウンドを守ろうとする姿が大きく見えたてかっこいいなと思いました。
―大学野球に対してどのような印象を抱きましたか
高校生とは大きく違うなと強く感じました。体も違いますし、一挙手一投足、全てにおいてスピード感も違いますし、 1番は強さが違うと思いました。
―法政大学の背番号18枚はエース番号ですが、その番号を2年生の春に18番に決まった時に率直にどう思いましたか
江川さんが背負ってきた番号というのはわかってたので 嬉しい気持ちもありましたが、 やるべきことだったり責任は今まで以上に気を使わないといけないという自覚はありました。
―エースとして具体的に見せたい姿はありますか
2年生の時は僕の持ち味である気持ちのこもった投球をすることで、チームにプラスに働くことがあればいいなと思って投げていました。 3、4年生になってからは当然勝ちに対する気持ちも強くなりましたし、 勝ちに行こうとしてる姿が表現できたらいいなと思って投げています。
―3年生の春のリーグは圧巻で、リーグ1位の防御率0.68という成績でしたが、 去年の春、このような成績を残すことができた要因は何だったんでしょうか
日本代表も経験させてもらいましたが情けない結果で終わってたので、 野球もですが私生活から大きく変えました。それが 結果的に結びついたと思います。
―昨年秋の慶大第3戦目では、10回13奪三振と素晴らしい投球でした。振り返ってどうですか
慶應の先発の外丸君はピッチャーですし、そんな点が入らないのは想定していました。1戦目2回途中でKOされていたのでもう一回エースとして何とか勝ちたいという気持ちでした。
―投げ合った外丸投手の印象は
非常にプライベートでも仲良くさせてもらってます。僕とは全く違ったピッチングしますし、 このたまでもカウントを整えられるのがすごい強みだなって感じています。
―昨年秋の怪我をしましたが、この怪我の期間で落ち込んだりしなかったですか
東大戦で初めてスタンドで観戦したときは正直何で自分はここにいるんだろうという気持ちはありました。
―投げれない期間で自分自身の投球を見直して改善した部分はあるのでしょうか
一足早く、人より早く冬が始まったっていうイメージで進めてたので、この春に向けて自分がどういうピッチングをしていきたいかと考え、自分の目標のプロ野球の世界行って活躍するためにも食事面などを見直すいい機会になりました。
―食事はどれぐらい摂るんですか
寮に住んでいる部員はは普通は1日3食ぐらいですけど、 4食はマストで5食食べれるように意識しています。
―食事を変えたことで具体的にどういう部分に変化が出たと思いますか
今までダイナミックというか、体大きく使いながら投げていましたが、少し動きを省きながら投げても高い出力が出せるようになりました。長いイニングを投げるなかで球数に気遣うようにしてますし、なるべくロスのないようにという感じです。
―篠木投手はストレートが1番の魅力ですが球速、球質は意識されてますか
自分の投げるボールでこだわりがあるボールなので、スピードも質も追い求めています。
―理想のストレートとはどのような球ですか
ベースの上で強い球、キャッチャーミットの奥に刺さるようなイメージです。
集大成、エースとして引っ張るシーズンに
―4年生になって、チーム全体を引っ張るような意識はありますか
僕のやっている姿で周りに良い影響を与えることが出来ればいいと思います。聞かれたらなんでも答えます。 1番リーグ戦だったり、いろんなことを経験させてもらってるので、 還元できるものは還元しようと思っています。自分の姿が投手陣の目標とか手本になるといいと思っています。高校の時に早川さんからエースは 投手陣の鏡じゃなきゃいけないと言われてからは、自分がしっかり鏡になれるようにしたいと思っていました。
―今までの3年間どのように振り返りますか
全然失敗の方が多いですし、満足だったり納得することの方がすごい少ない3年間だったのでそこは意識しながら、今年は集大成なのでしっかり納得のいくような結果が出たらいいなと思います。
―春季リーグの目標を教えてください
チームとしてはリーグ優勝とその先の日本一を目標にしてます。
個人としては勝ち星に こだわろうと思ってるので、勝ち続けるピッチャーを目指しています。
―来季のリーグ戦の中でライバルはどの選手でしょうか
一人がライバルというよりかは試合に出る選手全員が、それぞれの大学の意地だったりプライドを持ってると思うので、そういった選手たちと退治した時にしっかり対峙して抑えれるようにしたいと思います。
―今年のチームのストロングポイントは
最上級生たちの仲がいいで、チームの雰囲気がいいなと思います。また、僕と吉鶴が去年から投げてますけど、山城、安達など、いろんなピッチャーもいる中で守りを固めながらチャンスをものにできるバッター陣がいる点だと思います。選手層の厚さが強みです。
―吉鶴選手とはお互いに意識しあう関係なんですか
(木更津総合時代から同じチームで)7年目ですし、翔瑛がいたから自分の今があると思うというか、ずっと先発争ったりベンチ争ったりしてきて7年になるので、やっぱり存在大きいなと思っています。ジムが一緒なので、一緒にトレーニングする時間も長いですし、配球だったりお互いの投げながら試合見てる中で お互いにアドバイスなどをしています。
〇大学野球の先、プロを見据えて
―プロを意識し始めたのはいつ頃からですか
小学生の頃からプロ野球選手が将来の夢でやってますけど、強く意識するようになったのは 高校に入ってからだと思います。
―ドラフトで目標はありますか
なるべくいい順位がいいです。評価するのは第三者の方ですが、指名されるまでの過程は自分次第、自分でコントロールできるものなので、できることをやっていきたいと思います。
―プロでお手本の投手はいますか
好きで、憧れなのは三浦銀二さんです。あと、自分の今のフォークのイメージは橋本達弥さんにジャパンのときにアドバイスをもらいました。
―プロに入って対戦したい選手はいますか
上田大河投手(現・西武ライオンズ)と投げ合ってみたいです。
(鈴木廉)