慶大には、塾生たちのあいだでのみ通用する「塾生用語」が存在する。
「5限終わったら銀玉ね!」
「やばい、般教足りなくて来日かもしれない」
入学してしばらくは、同級生や先輩が使う「塾生用語」に最初は戸惑ってしまうかもしれない。この記事では、オリジナリティあふれる「塾生用語」を一覧形式でまとめて解説する。会話のなかで「塾生用語」に出会ったら、この記事で調べてみてほしい。「塾生用語」を使いこなしてキャンパスライフを満喫しよう!
塾生/塾員
「塾生」は慶應義塾の学生、「塾員」は慶應義塾の卒業生を指す。最も基本的な「塾生用語」だ。また、塾生・塾員・教職員・塾生の保護者を「義塾社中(ぎじゅくしゃちゅう)」と呼ぶ。
三田会
塾員(慶大学卒業生)の同窓会組織。同じ卒業年度の塾員が集まる「年度三田会」、同じ地域に在住・在勤の塾員が集まる「地域三田会」のほかに、同じ企業もしくは業界に勤める塾員が集まる「勤務先・職種別三田会」や、同じサークル、体育会、ゼミ出身の塾員が集まる三田会もある。
来日/在日
塾生がもっとも恐れることの一つ。文学部生は2年次から、経済・法・商学部生は3年次から三田キャンパスへ通うことになる。しかし、十分に単位を取ることができなかったり語学科目を落としてしまったりすると、三田キャンパス所属の身で日吉キャンパスへ通わなくてはならなくなる。これを俗に「来日」と呼んでいる。
一方で、進級することができず日吉キャンパスに留まることを「在日」と呼ぶ。さらに、日吉を脱出できずに大学を辞めてしまうことを「日没」と呼ぶとか呼ばないとか……。まじめに授業へ出席して、「来日」「在日」しないようにしよう。
放塾
慶大を退学になること。他校でいうところの「放校」にあたる。
メディセン/メディア
「メディアセンター」の略。つまり図書館である。正直なところ、特に意識せずメディアセンターを「図書館」と呼んでしまうこともある。課題をやったり、研究の文献を探したり、オンライン講義を受けたり、好きな本を読んだりと、公序良俗に反さない限り使い方はあなた次第だ。
また、早大の中央・戸山・理工学・所沢各キャンパスの図書館には、慶大の学生証で入館することができる。「メディセン」よりも早大の図書館のほうが近い人は、そちらを利用するのもおすすめだ。
「早慶間取寄せ貸出」・「学生証・教職員証による相互入館」サービスの開始(2024年4月1日~)
https://www.lib.keio.ac.jp/news/008336_Jp.html
学外の方―早稲田大学図書館
会館(塾生会館)
日吉キャンパスの食堂の向かいにある建物で、公認団体の部室が集まっている。音楽練習室やジム、シャワー室などがあり、特に音楽系・パフォーマンス系のサークルに所属している塾生は、頻繁に使うことになる。
記念館(日吉記念館)
2020年3月に生まれ変わった、日吉キャンパスのシンボル。入学式が開催された大きな白い建物が日吉記念館だ。あまりの神々しさに「神殿」と呼ばれることがあり、一部の塾生は「ホワイトハウス」とも呼んでいる。普段イベントがないときは体育館として利用されており、体育の授業をここで受ける人もいる。
独立舘
日吉キャンパスの第四校舎と接続している新しい建物。日吉駅の改札を抜けると最初に目に入る。日吉学生課があり、訪れることが多い。
協生館
日吉駅を出て右に見える建物。コンビニやカフェ、ジムなどがある。学部生はあまり使う機会がないが、水泳など一部の授業で使用するため覚えておこう。
来往舎
日吉メディアセンターの向かい側にあるガラス張りの大きな建物。教授たちのオフィスや研究室が入っている。基本的に塾生が立ち入る機会はほとんどないが、教授と仲良くなると特別に入れてもらえることも。
塾長(慶應義塾長)
慶應義塾の学長のこと。現在の塾長は、理工学部所属の伊藤公平教授。研究者・物理学者として著名な方で、日本の量子コンピューター研究におけるパイオニアである。
ぎんたま(ぎんだま/銀玉)
日吉駅改札前に設置されているメタリックな球体のモニュメント。塾生定番の待ち合わせスポットとなっている。彫刻家・三澤憲司氏の作品であり、正式名称は『虚球自像(こきゅうじぞう)』という。
諭吉像
日吉メディアセンター前にある福澤諭吉先生の胸像。こちらも塾生定番の待ち合わせスポットになっている。この像にイタズラすると留年になるとか、放塾になるとか……。
大銀杏
三田キャンパスの中庭広場にある大きな銀杏の木。こちらは三田キャンパスの待ち合わせスポットとなっている。
銀杏並木
日吉キャンパスの入り口から日吉記念館前の広場まで続く銀杏並木。秋には美しい黄金色に染まるが、「入学してから銀杏が散るまでに恋人ができないと、大学4年間ずっとできない」という不吉な伝説も存在する。
慶早戦
野球やラグビーをはじめとする、各種スポーツの対早大戦のこと。「早慶戦」と呼ぶと怒られる……ことはないが、「慶早戦」と呼ぶことで慶應義塾への愛をアピールすることができる。
特に東京六大学野球の慶早戦は全塾をあげての一大イベントとなる。今年度の春季リーグ戦では、6/1(土)・6/2(日)に慶早戦が開催される。2023年度秋季の慶早戦では慶大が勝利して六大学野球優勝を成し遂げており、今年も慶早戦に注目が集まる。塾生新聞では、今年も野球部の戦いを塾生にお知らせしていく。
【速報】慶大 六大学野球4季ぶり優勝 投打がかみ合い早大に勝利
ひようら
日吉駅西の商店街のこと。お昼時や5限終了後には、お腹を空かせた塾生でにぎわう。(日吉キャンパスから見て)日吉駅の裏側であることから「ひようら」と呼ばれるようになった。
慶應仲町通り
三田二丁目交差点から東へ伸びる通りのこと。居酒屋をはじめ飲食店が軒を連ね、特に金曜日の夜は一週間を乗り切ったサラリーマンと塾生で賑わう。
若き血
慶大を代表する応援歌。愛校精神に燃える塾生は大体歌える。各種スポーツの試合で歌われるのはもちろんのこと、感情の高ぶったあらゆるシーンで歌われ、塾歌に勝るとも劣らない知名度を誇る。対を成すは早大応援歌の『紺碧の空』。赤と青のコントラストが美しい。
〇〇君
慶應義塾において「先生」とは福澤先生ただ一人。教職員の方に呼びかけるときも「○○君」と呼びかけるならわしがある。しかし現在では、教職員に面と向かって君付けで呼ぶ塾生はまずいない。
定期試験のときに黒板に「(教員の名字)君 ××学Ⅰ 期末試験」と書かれたり、式典の際に塾長や学部長が君付けで呼ばれていたりと、現在でも公式な場ではこのならわしが続いている。
蝮谷(まむしだに)
日吉キャンパス、記念館の裏の低地部分。テニスコートなど、体育会関連の施設がいくつかある。かつてマムシが出没したため「蝮谷」という名前がついたという説がある。蝮谷の奥には第二次世界大戦期の地下壕をはじめとした史跡も残されていて、見学会が開催されることもある。
下田
伊豆半島南端の都市……ではない。日吉駅から歩いて15分ほどの距離にある、体育会関連施設が集まっている場所のこと。体育会野球部の練習場やソッカー部のサッカーグラウンド、ラグビー部が使用するラグビー場などがある。体育会の学生寮もあり、体育会に所属する塾生には馴染み深い場所だ。
山食(やましょく)
三田キャンパス西校舎にある学生食堂。生協食堂に比べて値段の割に量が多く、お昼時は連日満席となる。「山食カレー」が名物で、注文すると30秒も経たずに皿いっぱいのカレーが提供される。講義の時間には比較的空いているので、2限もしくは3限に空きコマを作って食べにいくのがおすすめだ。
フェニックス
法学部1、2年次の「復活制度」。進級に必要な単位数が足りずに原級となっても、不足の単位数を翌学期に取得することで、もとの学年に復帰できるというもの。詳しくは塾生サイトから履修案内を参照のこと。
一見ありがたい救済措置のように思えるが、上級学年で履修するべき科目を履修できずに翌年度ふたたび原級となったり、就活で忙しい時期に多くの科目を履修しなければならなくなったりと、「フェニックス」で、もとの学年に戻れたとしても単位取得状況が芳しくないことに変わりはない。
法政
法学部政治学科のこと。某大学のことではない。法律学科は「法法」。
社学(しゃがく)・人科(にんか/じんか)・美美(びび)・図書情(としょじょう)・民考(みんこう)
文学部の専攻の略称。「社学」は社会学専攻、「人科」は人間科学専攻、「美美」は美学美術史学専攻、「図書情」は図書館・情報学専攻、「民考」は民族学考古学専攻のことを指す。
文学部には17の専攻がある。意外と他の専攻との接点は薄いため、同じ文学部でも他の専攻の塾生が何を学んでいるかは知らないことが多い。
インテ
インテンシブコースの略称。法学部の語学科目でインテンシブコースを選択すると、選択した外国語は週4コマ授業となり、集中的に外国語を学ぶことができる。スペイン語のインテンシブコースなら「スぺ語インテ」のように使う。
「塾生用語」を使いこなせば、同級生や先輩から一目置かれること間違いなし。周りの友達にもこの記事を共有して、大学生活のスタートダッシュの参考にしてくれれば幸いだ。
(竹之内駿摩)