慶大は合わせて10の学部を抱える総合大学だ。三田や日吉をはじめとする6つのキャンパスと日本各地に設けるタウンキャンパスで多種多様な領域に渡って教育・研究活動が行われている。このような慶大の活動は教授をはじめとする教職員らによって支えられている。本記事では世の中の様々な領域で活躍する慶大の教授にスポットを当て、具体的に2名の研究活動と授業を紹介する。なお、本記事の内容は2024年1月時点の情報に基づいている。
澤井敦 教授(法学部政治学科)
●研究活動
澤井教授は法学部政治学科の教授で社会学を専門としている。研究領域は現代社会理論、社会学史、死の社会学だ。この中でも「死の社会学」は読んで字のごとく死を対象とする社会学である。社会学では初期から自殺を対象として死を扱っていた。しかし、近年ではこれまで以上に死に対する関心が高まっている。医療の発達により死にゆく期間が長期化したためだ。1960年代に「終末期患者」のふるまいが研究されたのを皮切りに、次第に「死の社会学」の研究が発展していった。日本でも2000年代から研究されるようになり、2012年頃には社会学の一領域として確立していった。このように「死の社会学」は社会学の中でも新しい領域であり、これから益々の発展が見込まれるだろう。澤井教授の研究もその一端を担っている。
●授業
澤井教授は法学部政治学科の1・2年生を対象に「現代社会理論Ⅰ」を開講している。澤井教授の研究分野の1つである「現代社会理論」への入門の講義となっている。現代社会理論は私たちが日々の生活において現代社会に対して持っている無意識的なイメージを明らかにしていく営みだ。この講義では代表的な現代社会理論について、具体的な社会現象や日本社会の状況と関連付けながら解説される。
中島隆信 教授(商学部)
●研究活動
中島教授は商学部の教授で応用経済学を専門としている。「お寺」「障害者」「刑務所」「オバサン」といった、一見すると経済学とは縁がないようなテーマを経済学的なアプローチで論じる著書で知られる。中島教授自身も慶大経済学部を卒業し、慶大大学院で博士(商学)を取得している。また、2007年から2009年にかけて内閣府大臣官房統計委員会担当室長を務めた。
●授業
中島教授は全学部生を対象として「障害者雇用の現状と将来」を開講している。この講義では障害者雇用における課題や取り組みについて学び、障害のある人々の生活と雇用環境についての理解を深めることを目標としている。また、商学部の3・4年生を対象に「公共政策各論(障害者の経済学)」を開講している。この講義では障害者にかかわる様々な問題を経済学的視点でとらえる。さらに、このことを踏まえて社会にとって全体最適なシステムを構築するための施策を考えることを目標としている。