東京六大学野球連盟が主催するグラウンド開放企画が、12月12日に慶大野球部グラウンド(下田グラウンド)で行われた。広大なグラウンドで思い切り体を動かす子どもたちや、彼らと交流する野球部員の様子を取材した。

 

子どもたちの遊び場に

招待されたのは主に下田地域に住む小学生。近年、公園の数は減少し、公園内でもキャッチボールなどの球技ができない場合が増えている。このイベントを通してグラウンドという遊び場を提供し、小学生の体づくりなどの一助になればと企画した。部員の多くは自ら志願して参加した。野球部マネージャー宮田健太郎さん(3年)によると子どもが好きな部員が多い印象だという。「普段の野球教室に参加してくれる部員は、結構純粋に子どもが好きでたまらないという部員もいますし、自分が打った打球の歓声を聞くことが楽しいという部員もいます。なので、純粋に子どもとの交流を楽しめる部員が多いかなという印象です」

 

普段とは違う刺激を

当日は、グラウンドを内野と外野に分け、内野では地元の少年野球チーム・下田レインボーの子どもたちを招待し野球教室が行われた。 野球教室では、投球、ノック、バッティングの3つのパートに分かれて慶大野球部員たちと交流した。部員たちは子どもたちと積極的に交流して、的確なアドバイスを送っていた。投球練習では、球質を解析する機械を使用、子どもたちは球速などを競い合い盛り上がっていた。下田レインボーの監督、小俣秀人さんは「大学生に教えてもらえるというのは、子どもたちにとってすごく嬉しいことだと思います。子供たちが野球をする姿を見て、いつもと何か違うな、刺激を受けて楽しそうだな、と思いました」と話した。

 

選手たちは積極的に子どもたちに話しかけていた

 

外野は地域の子どもたちに開放し、子どもたちが自由に遊んでいた。参加者の1人にTEAMMATES事業の参加者、栗原春生NPO法人Being ALIVE Japan法人Being ALIVE Japanが行う、スポーツチームへの入団を通じて長期療養中の子どもに青春を届ける取り組みだ。春生くんのお父さんは「自分の子どもは骨の病気で運動ができなかったので、プログラム参加させてもらって、最初は椅子などに座ってキャッチボールなどをやらせてもらいました。また、座ったままバッティングもしました。普段は全然運動することができないのですが、ここに来て身体を動かせたので、気持ちも発散できたりして良いプログラムだったと思います。このプログラムをきっかけに結構外に出るようになって、家族全体で活気が出るような感じでありがたい経験でした」と話した。

 

子どもから得る学び

子供たちとの交流は、選手たちにも良い影響を与えている。寳田裕椰選手は野球に対する向き合い方で子どもたちから刺激を受けたという。僕たちは、毎日野球をやっているとそれに対する情熱だったり初心を忘れてしまうと思うんですけど、小さい子どもたちは本当にシンプルに野球が好きだっていう気持ちを持っているので、自分たちにも刺激になります」
福住勇志選手は自らの子どもの頃を振り返ってイベントの必要性を感じたという。「僕自身も東京出身で周りに遊べる環境が少なかったので、小学生の時期にグラウンド開放を通して1日だけでも場所を気にせずのびのびと運動できる環境が整っただけでも良かったかなと思います」

現代社会の子供たちが抱える問題を把握しながら、子どもが楽しむことが出来るイベントだった。慶大野球部の活動は地域に深く根付いている。

片山大誠