12月15日に文学部の専攻希望が締め切りとなる。塾生新聞は、2年以上の文学部生に専攻を選んだ理由などを答えてもらうアンケート調査を行った。

専攻によっては学ぶ内容やどの程度のGPAが必要なのかなど、情報がなかなか集まらない。現在専攻に所属している学生たちの声を聞いて参考にしていただければ幸いだ。

 

今年度は、情報が多く集まった人間関係学系と図書館・情報学に絞って、先輩アンケートの結果を紹介する。哲学系(哲学、倫理学、美学美術史学)と文学系(国文学、中国文学、英米文学、独文学、仏文学)についての情報は、過去記事を参照されたい。

 

哲学系(哲学、倫理学、美学美術史学)の情報はこちら

文学系(国文学、中国文学、英米文学、独文学、仏文学)の情報はこちら

 

  

図書館・情報学系(図書館・情報学)、人間関係学系(社会学、心理学、教育学、人間科学)

 

―その専攻を選んだ理由は何ですか?

 

・就職希望が出版社だから。(図書館・情報学)

 

・人間の社会行動に興味があったから。(社会学)

・社会学を勉強したくて慶應に入ったから。(社会学)

・学びの幅が広そうだったから。(社会学)

・受験生の頃から社会学をやりたいと思っていたから。一番人気のあるイメージだったから。(社会学)

・社会学は扱う分野が広範なので、自分の興味を広げられると思ったから。(社会学)

 

・高校から慶應に入ったのですが、心理学専攻に行きたくて文学部を選びました。単純に1番面白そうという興味本位です。(心理学)

 

・身内に教員が多く、もともと教育という営みそのものに関心があったからです。当初は文学系と迷っていましたが、1年春学期に履修した山本正身先生の教育学Ⅰがきっかけで近代以降の日本教育史に関心を持ち、教育学専攻に決定しました。(教育学)

・専攻説明会で眞壁先生のお話を聞いて、学びたいことと合致していたから。(教育学)

・教育の諸問題や教育行政などに興味があったからです。(教育学)

 

・大学入学前から文化人類学をやりたかったのと、社学に行くにはGPAが心もとなかったから。(人間科学)

・専門の幅が狭いのが窮屈で嫌だったので、一番多くの分野に触れられる専攻として社学or人科に絞った。できることはその2専攻でほぼ同じなので、シラバスを見て日々の授業がより面白そうだと思った方にした。良いと思った理由は本当に色々な科目があるので一概には言えないが、社会学の方が抽象的な理論やモデルを扱う場面が多く、推測するよりまずは実物で確かめたい私には合わなかったのかもしれない。(人間科学)

 

 

―1年生春学期のGPAはいくつでしたか?

 

・2.5(図書館・情報学)

・3.6(社会学)

・3.45(社会学)

・3.7(社会学)

・3.5(社会学)

・3.4(心理学)

・3.6(人間科学)

・3.10(人間科学)

 

 

―必修の授業の内容はどのようなものですか?

 

・週一で英語の文献を読み、春学期は図書館を駆けずり回り、秋学期は講義中心。(図書館・情報学)

 

・週3回、社会学概論、社会心理学概論、文化人類学概論が進級条件科目。グループで社会心理学実験のゲームを行ったり、映像を視聴したり現代の社会問題について広く学んだりする。(社会学)

・クラス分けや原典購読はない。社会学・文化人類学・社会心理学の三本柱になっており、それぞれ一つずつ概論(基礎を学ぶ講義)がある。これらは進級条件の必修。その他には、社会調査や社会学史の講義が選択必修になっている。(社会学)

 

・英語の論文を読む練習をするアカデミックリーディングという授業や、Excelを使う統計の授業などです。この2つが必修で、他にも選択必修科目がたくさんあります。(心理学)

 

・進級要件科目である教育学概論のほか、教育史・教育学史・教育心理学概論・比較教育学の4科目が必修です。教育史は日本やヨーロッパの教育の歴史を、教育学史では人間形成にかかわる西洋哲学を学びます。

教育心理学概論はおおむね総合教育科目の心理学と似た内容で、比較教育学では他国と日本の教育内容や制度を比較を通して学んでいきます。(「韓国と日本の英語教育」「イギリス公立学校でのいじめ対策」など)(教育学)

・教育学史:西洋の教育思想を学ぶ。ロック・ルソー・フレーベルなどの思想家が教育をどのように考えていたかを講義形式で学びます。内容は難解ですが、眞壁先生の説明がわかりやすく、面白さがわかればハマります。ミュージアムの話もしてくださり、担当の眞壁先生と一緒に美術館に行ってみたくなります。

教育学概論:教育学を学ぶ上で基礎となる内容を学ぶ。担当の先生の専門分野に沿って授業が進みます。

教育心理学概論:幼児の発達を学ぶ。赤ちゃんの実験動画をたくさん見るので癒されます。期末のテストは、全ての範囲から満遍なく出されるので、良い成績を狙いたければ早めの準備が必要。

比較教育学:世界各国の教育を比較する。春学期は先生の講義&グループディスカッション。秋学期は、担当の生徒が発表・授業をする形式。間篠先生が優しい。

 

・必修は2年次に週3コマ。社会学、社会心理学、文化人類学といった人間科学の各分野をそれぞれのコマで学ぶ。オムニバス形式で各研究手法を学ぶ「研究法基礎」は、実際に個人でフィールドワークに行くのが大変だったけど思い出になった。毎回の課題を楽しんでやろうという姿勢で挑むと結構楽しい。(人間科学)

・基本的に週2で、Ⅰが心理学、Ⅱが社会心理学、Ⅲが社会学、Ⅳが文化人類学です。ほかに落とすと即留年になる人間科学基礎(春)と人間科学研究法基礎(秋)があります。前者は人文科学や社会科学を学ぶものとして必要な基礎概念を教わる講義で、後者は心理学・社会学・文化人類学研究に必要な手法を学ぶものです。2年の冬には統計をやるのですが、本当に難しいので友人がいないと詰みます。人間科学専攻に入ったらまず人間科学専攻の先輩友人を確保しましょう。(人間科学)

 

 

―その専攻に入る前に思っていたことと実際に入ってから同じだったこと・違ったことは何ですか?

 

・ペアでのインタビュー調査やゲーム実験など、ただ講義を聞くだけではない授業もあることに驚いた。(社会学)

・人科と違って統計の必修がないと聞きましたが普通に使いました🥲(社会学)

・チャットGPTの影響もあり、春学期は思っていたよりもレポートよりテストが多かった。秋学期は春よりレポートが多くなりそう(個人の履修状況による)。最初はそこまで授業が面白くなかったけど、社会学的な考え方をつかめれば楽しくなってきた。(社会学)

 

・社会学と一言で言っても、社会学、文化人類学、社会心理学では扱うことが全然違います。(社会学)

・聞いていたほど勉強が大変という感じではなかったです。3年生になったらまた全然違う(絶対に大変)と思うのですが、意外と遊びまくっている人もいます笑。(心理学)

 

・何をやっているかよくわからない専攻だなと思っていたが、入ってみたら何をやっているかは各人次第の自由で面白い専攻だった。(人間科学)

・ゼミの人気が偏りすぎているので、専攻入った後も成績が必要。昨年度は人類学ゼミに30名ほど志望者が集まった。入ゼミ後、教員に基準を聞くと「基本的に成績」と述べていたことからも、やりたいことをやるにはGPAに油断禁物。(人間科学)

 

 

―逆にその専攻で「これはあまり力を入れてできない・学べない」と思うことは何ですか?

 

・プログラム系の情報学。(図書館・情報学)

 

・計量分析は人間科学。幅広いので、自分の興味をしっかり持つこと。(社会学)

・三田論をやるゼミは少ない。(社会学)

・文化人類学系の先生が多くてゼミ選びが難しいところがあります。(社会学)

・「○○社会学」としてしまえば割と何でも学べる。個人的には美美や東洋史学の講義を取るなど、他専攻の講義を取ることで、特に学びたいことに関しては適宜補えると思う(社会学専攻に限った話ではないかも)。思っていたよりも、ジェンダーについて学ぶ講義はそれほど多くないかもしれない。文献研究や社会学特殊にはジェンダー関連の講義があるけど、2年生でがっつりやるって感じではないかもしれない(ジェンダー以外に興味がないならできるかもしれないけど、そうじゃないならコマ数的に難しいかも。個人の履修による)。ゼミも家族社会学や医療社会学でジェンダーを勉強するといった感じになる気がする。(社会学)

・人間科学専攻のような理系的な実験はありません。質的調査(インタビュー、フィールドワーク)や量的調査(アンケートなど)がデータとなります。(社会学)

 

・かなり心理学中心の時間割にはなります。ただ、社会学専攻の設置科目を履修したりもできます。公認心理師の資格を取るためのコースなどは設置されていません。(心理学)

 

・よく誤解されるが、教育学専攻で学ぶ教育学は「先生になるための学問」ではない。この専攻で教師になるための勉強はしない。(教育学)

 

・歴史を軸にやりたいなら史学系でやってくれと教授の誰かが言っていた。(人間科学)

・社学との違いはそこまでないので、そのあたり変に期待しすぎると幻滅する。卒業要件の都合上、社会心理系科目に少しでも興味を持たないと詰む。(人間科学)

 

 

―その専攻で最も面白いと思うことは何ですか?

 

・生成系AIについて知見が深まる。(図書館・情報学)

 

・身近なものが全て研究対象になること。(社会学)

・社会心理学の授業で、ゲーミングを用いた講義が面白いです。(社会学)

・都市社会学の講義が面白く、先生も人気。元々ジェンダーをやろうと思って社会学専攻に来たけど、いまは都市社会学や文化社会学をやろうと思っているくらい楽しい。他にも文化人類学や医療社会学など、元々興味のなかった分野も幅広く学ぶことができるので、自分の視野が広がる。(社会学)

・現代のあらゆる社会問題から個人的な問題に至るまでの、言語化・考察がしやすくなります。普段の生活から社会学を見出すのが面白いです。(社会学)

 

・社会の事象であればほぼ何でも研究出来る点。自分のその時の興味に合わせられる。(社会学)

・2年生のうちは色々な心理学について概論的に学ぶのですが、個人的には認知心理学や認知神経科学が面白いです。(心理学)

 

・講義を通して、自分の送ってきた学校生活や受けた教育に対して新たな視点が生まれることが多くなることです。授業では、選択必修として開講されている「教育学特殊1~16」で必修科目よりもさらに踏み込んだ内容を扱うため、自分の興味に沿う講義を履修すると充実度の高い学びが得られます。私はちくま新書『教育格差』の著者である松岡亮二先生の授業を受けていましたが、日本の教育格差の現状に関する講義やディスカッション等内容が充実しており、毎回楽しみにしていました。(教育学)

・「教育」は誰しもが身をもって体験してきたはずなのに、不思議なことにいざ「教育とは何か」と聞かれた時に、パッと明確な答えを出せる人は少ないものです。このように、教育には正解がない(人によって異なる)からこそ、問い続けることに面白さがありますし、この問いを自分の興味のある分野と関連づけて追求できる自由度の高さが魅力です。(教育学)

 

・領域の広さと実践やアウトプット機会の多さゆえに、自分の興味に向き合って突き詰める機会がたくさんあること。アンテナを張れる人、気付くのが好きな人は人科でいきいきとしているし、そういう人に授業を通じて出会うといい刺激がたっぷり。(人間科学)

・諸領域の授業。心理学と社会心理学と社会学と文化人類学の、人間科学の基礎となる4領域を半期ずつ概論で学ぶという学への冒涜じゃないかと思える授業。「人間ってどう生きればいいの?」みたいなふわっとしたテーマで専攻を選んでも、2年のうちにこれら4領域を勉強して自分のやりたいことを絞り込める環境がある。(人間科学)

 

こちらもぜひ参考にどうぞ!《慶大文学部専攻を知る》社会学専攻・人間科学専攻 「社学」「人科」どう違う?

 

関根裕生