きっとこの街が好きになる、大人のためのグルメライフスタイル誌「東京カレンダー」。毎月話題の女性俳優やタレントを表紙に、グルメ、ファッションなど幅広いジャンルの情報を発信している。スタイリッシュな世界観は、人々を魅了し続けている。

今回、「東京カレンダー」編集長・日紫喜康一郎さんに、編集者の仕事や学生時代の思い出などを詳しく聞いた。

 

 

── 新卒から現在まで20年以上編集者として活躍していらっしゃいますが、編集者を志したきっかけを教えてください。

雑誌が大好きだからです。雑誌って、その世界観が好きな人しか買わないですよね。テレビや新聞は専門性よりも多様な情報を扱うことに重きを置いているけど、雑誌はファンに向けての情報発信。だから、こだわりを持って仕事ができる。非常に魅力的に映りました。

 

── 日紫喜さんは、今まで女性ライフスタイル誌『Ray』や男性ライフスタイル誌『LEON』で活動なさっていましたよね。今までの経歴が役に立ったことはありましたか。 

『Ray』も『LEON』もライフスタイル誌なので、本当にいろいろなことを発信してきました。そこには食に関する話題も入っていて、さまざまなジャンルを取材した経験が、今につながってるなという感覚はあります。

 

── 次に「東京カレンダー」の編集について詳しくお聞きします。お仕事の際に意識されていることはございますか。

「東京カレンダー」ならではの世界観を形成できるように心がけています。港区西麻布、六本木周辺の高級レストランを特集することが多いですが、そこには「モテたい」と思っている人が沢山います。「センスがいいと思われたい」とか「格好いいと思ってほしい」といった気持ちが行動の源、パッションになっている人って結構いると思うんです。高級レストランに行く際は、男性が妻でも彼女でも誰か女性を連れていって、男性がお金を出す傾向が高いですよね。そして、「あわよくば…」って思っていることもある。そういう妄想も含めて、「『東京カレンダー』って面白いなぁ」って思ってもらいたい。誌面では、誘う相手や関係性を考慮しながらその場面を想定して、誰の期待も裏切らないようなお店を紹介していきたいです。

 

── 東京カレンダーの見出しって独特ですよね。どのように作られているのでしょうか。

実は、奇を衒おうとは思っていないんです。さっきも言ったように、誰しも「相手に好かれたい」っていう欲がある。でも、直接的な表現は書かないようにしていて。事実や気持ちをオブラートに包んで表現すると、「東京カレンダー」の見出しができあがります。世の中にある素敵なコピーって、言葉自体が面白いっていうよりも、視点が独特なんだと思います。

 

── 学校生活について教えてください。

慶應は新たな価値観を得られた場所でした。内部生、外部生とひと口にいってもいろいろな生徒がいますよね。だけど、全体的に、いいものを見たり、聞いたりしてきて、洗練されている人が多いなっていう印象があって。大学で出会った友達から受けた価値観が、今の仕事のお店選びにも影響している瞬間もあると思います。

 

── 今後の展望について教えてください。

読者が望むことに応じられるように、常に変化していきたいです。昨今では、マッチングアプリの事業も始めました。読者に応じ続ければ、旧態依然とした出版社の形態も変わっていくはずです。

 

── 最後に慶應生におすすめのお店を教えてください。

三田周辺の居酒屋に行くことが多いと思いますが、立石とか赤羽とか、野毛とかに行ってみるのもありですね。「みんなで飲む」ことが肝心で、その場面を想定しながら面白そうだと思うお店に足を運んで、開拓してみてください。

 

横山真緒