ブース先頭に白い籠が並べられている。保温用のティーコージーらしく、外すとそれぞれ豊かに香り立つティーポットが露わになった。11月24日、第一校舎123教室に開設された『Tea Salon LLR』を訪れた。
特にお勧めだという三種を試飲させて頂けることになった。
私が淹れたての熱に躊躇っていると、「熱いうちに飲むべきと言われていますが、無理する必要はありません」と案内役の方に教えて頂いた。熱が収まるのをしばらく待つ間、紅茶サークル「Le Lien Rouge」の活動について伺った。
2019年設立とサークル自体は比較的新しい。普段の活動内容としては、1、2ヶ月に一度ホテルのアフタヌーンティーに行き、授業後や週末は喫茶店やティーサロンに行く。その他部員が茶葉を持ち寄ってお茶会を開くこともある。入る前まではアールグレイの名前しか知らなかったメンバーでも、自然と紅茶について詳しくなっていくのだという。このサークルにとっての「飲み会」に酒類は含まれない。案内役の方曰く「慶應一優雅な飲みサー」である。
紅茶が良い温度に落ち着いてきた頃に、いよいよ実飲してみる。
一種類目は『Marco Polo』
フランスのブランドで、ベリーやバニラの甘く優雅な香りに、紅茶の渋みがしっかり残る味わい。定番の味らしく確かに吞みやすかった。
二種類目は『Irish Malt』
ドイツのブランドで、豊潤なバニラの香りが芳しい品種だが、実際に用いられているのはアイリッシュクリームというバニラに近い風味のリキュールだという。紅茶の渋みがほとんどなく、紅茶を飲みなれていない人でも親しみやすい味わいだった。
最後に頂いたのは『Countess Grey』
イギリスのブランドで、アールグレイの名前の由来として知られるグレイ伯爵の奥方の名前を冠した茶種だ。柑橘系の香りに沿ったフルーティーな味わいだが、その中にアールグレイの渋みもしっかり残している。
どの紅茶もその味わい自体よりも、飲み切るのが惜しくなってしまうほどの馨しい香りが印象的だった。案内役の方から「紅茶は香りで楽しむものですからね」と言われ、腑に落ちた。
取材の最後にまだブースを訪れていない人へ向けたメッセージを頂いた。
「皆さまがお飲みになられたことのない希少性のある茶葉をご用意しておりますので、お時間がありましたらぜひお越しください」
入会も一年中受け付けている。「紅茶に明るい人もそうでない人も、敷居高く感じる必要はありません。一緒においしい紅茶を飲めることを心待ちにしております」
紅茶は茶葉の状態では同グラムのコーヒー豆よりカフェイン量が多いが、抽出された飲み物としての状態ではコーヒーよりカフェイン含有量が少なくなる。三田祭期間中、憩いの香りを求めてぜひ立ち寄ってもらいたい。