10月15日の連合三田会大会にて、伊藤塾長のトークイベント「『リアルで会うということ』~ポストコロナの気品の泉源~」が開催された。今年度大会のテーマともなっている「リアルで会う」ことの素晴らしさについて、伊藤公平塾長、ジャーナリストの池上彰氏(1973年卒)、研究者の山口周氏(1994年卒)が対談した。

はじめに、山口氏はChatGPTの登場に言及。言葉を無限に生成する機械の登場によって「言葉にならないものの価値が上がる」という自身の言葉を解説した。伊藤塾長はOpenAI社CEOのサム・アルトマン氏来塾時のエピソードを披露。アルトマン氏が講演後も居残って塾生の疑問に答えた姿から、生成AIの制作者さえリアルを大切にする様子を伝えた。池上氏はリモート授業での講師経験を話し、「授業が終わってから学生が廊下で色々話したりする。そういったところが対面だからこその良さ」と語った。

その後はリアルを通じた情報収集に話題が移る。さまざまな切り口で情報をみる方法について問われた池上氏は、学生時代の経験を経て独学の技法を学んだと話す。現在は全国紙・地方紙の計11紙に目を通し、「これはみんな絶対分からない」と感じたものをテレビで解説しているという。「アウトプットを意識したインプット」の重要性を強調した。「社会人になって、半学半教をどう生活の場に落とし込めば」との質問には、池上氏は語り掛け共感を求めるような「知を共有していく」姿勢が大切だと話した。伊藤塾長は、人同士直接の付き合いの中で、検索では見つからないものが見つかっていくと語った。

最後は三者全員が感想を述べた。山口氏は今回の対談を通じて気づきがあったと述べ、ソクラテスのような、対話の中でウィズダムが生まれることを実感したと話した。池上氏は「『無知の知』が好奇心の原動力になっている。卒業生の皆さんも、常にもっと知りたいという思いを持ち続けていただければ」と来場者に語り掛けた。

 

乙幡丈翔