9月24日、矢上祭内で声優研究会主催のトークショー「石原夏織のK!O!Revolution!」が開催された。登壇した声優の石原夏織さんは、アニメ『マギ』のアラジン役、『お兄ちゃんはおしまい!』の緒山みはり役など、人気作品のキャラクターを多く演じている。また、アーティストとしても活動しており、今年の3月にソロアーティストデビュー5周年を迎えた。
そんな石原さんにトークショーの感想や自身の活動に対する想いを聞いた。
――今回のトークショーはいかがでしたか。
久々の学園祭で、慶應義塾大学でのトークショーは初めてなことに加え、企画内容も私のことをよく調べてくれたことが伝わってきて嬉しかったです!また、学生生活の気分を味わえることも学園祭ならではで面白いなと感じました。企画してくれた声優研究会さんの優しさも詰まった素敵なイベントになったと思っています。
――大学時代の印象的な思い出を教えてください。
大学生の時には既に今のお仕事を始めていたので、3時限目までに授業を詰め込んで、お仕事に向かうという生活を送っていました。4年生は単位もほぼ取り終わって、少し時間に余裕も出てきていたので、友人とお昼ご飯を食べに行ったことや、卒業論文を書くために教授に相談しに行ったことなどは思い出深いです。それまではお仕事と両立していたのもあって、あまり大学に滞在できていなかったので、初めて大学生らしい生活をしているなと感じました。
――お仕事と学生生活の両立をされていたとのことですが、大変だったことはありますか。
私の家と大学も距離がありましたし、お仕事の現場も遠かったので、位置関係的に三角形を行き来していた状態でした。大学の授業を受けてすぐにお仕事に向かって、23時頃までお仕事をして、お家に帰って……。次の日も台本のチェックなど準備をしなければいけなかったので、しばらくは3~4時間睡眠の日々が続いていたことが大変だったなと思います。でも、「今は大変だけど、それもたったの4年で、乗り越えたらきっとあの時頑張ってよかったと思えるだろう」と考えながらこなしていました。
――今まで演じられてきた役の中で、大変だった役などがあれば教えてください。
『マギ』という作品は、私の中でターニングポイントになったと感じています。作品の中で演じたアラジンというキャラクターは、幼いうえに自分が何者か分からないけどもどこか達観している、私の経験にない部分を沢山持ったキャラクターでした。どのようにキャラクターへ向き合っていけばいいのかすごく悩んで、監督や音響監督とディスカッションを重ねました。その中で、まだ声優としての技術や知識が足りないなと感じることが多くあったんです。音響監督から台本に書いてある専門用語の意味や、「キャラクターが画面に映っていない時も、裏ではどんな風に動いているのか想像しなければいけない」ことを教わって、キャラクターを演じることの大変さを痛感しました。
――他に印象的な作品などはありますか。
2012年に放送された『あの夏で待ってる』という作品ですね。オリジナルテレビアニメ作品で、次の展開がどうなるか台本を貰えるまで分からなくて、声優側もリアルタイムで楽しんでいました。初めて感情の起伏が激しい役をいただいて、自然な演技を求められる中で、どうやってキャラクターの強い想いを伝えればいいのか悩んだ印象的な作品です。作品自体もキャラクターも色々な人の胸に刺さったようで、私のことを色々な世界に連れて行ってくれた作品でした。
――尊敬されている声優さんはいらっしゃいますか。
そうですね……。沢山いらっしゃるのですが、その中でも花澤香菜さんと三木眞一郎さんをすごく尊敬しています。まず花澤さんは、声優としてだけでなくお人柄も素敵で、物腰柔らかなのですが、芯も通っていらっしゃって惹かれるなと感じます。三木さんは、私が小さい頃から第一線で活躍されていてオーラもあるのですが、新人の私にも色々教えてくださったり、優しさが本当に伝わってくるところに尊敬しています。
――今後こんな役を演じてみたい!などがありましたら教えてください。
等身大の役をいただくことが多かったので、言葉を喋らずに感情を伝えるようなキャラクターも挑戦してみたいです!今までそのような役を演じたことがないので、足りない部分もあると思いますが、自分自身の引き出しをさらに増やせそうだなと感じています。
――最後に、塾生へのメッセージをお願いいたします。
楽しいなと思えることを突き詰めて、自分の「好き」を大切にしてほしいなと思います。やっぱり「自分はこれが好きなんだ!」というものを持っている人はすごく魅力的だなと思うので、やらなければいけないことも大事にしつつ、好きなことも突き詰めてみてほしいです。それがお仕事に繋がったりだとか、自分を支えてくれる存在になったりすると思うので……!
(飯尾梨子)