義塾は昨年度の収支決算を発表した。経営状態を表す消費収支差額は約113億円の支出超過(赤字)。予算での約92億円を約21億円上回り、一昨年度に引き続き、厳しい財政状況を示す結果となった。
消費収入については、寄付金収入が予算より約27億円減少したほか、受験者数の減少で入学検定料が減少したことにより手数料収入が減少した。
一方、学生生徒等納付金、補助金収入、医療収入、事業収入は順調に伸びており、特に補助金収入は、義塾が国際化拠点整備事業費補助金(グローバル30)をはじめとする新規の補助金を獲得できたことにより、予算より大幅に増加した。その結果、帰属収入全体としては、ほぼ予算どおりの結果となった。
消費収入全体では、創立150年記念事業の一環で、三田南校舎の建て替え工事や、信濃町地区3号館の新築工事などの進捗により、基本金組入額が約24億円増加したため、予算より約27億円減少した。
消費支出については、人件費、教育研究経費、病院経費など予算より減少した項目が多く、合計で約6億円減少した。経理部課長の大古殿憲治氏は「支出の減少は、教育研究医療の質を向上しつつも、経費節減を自助努力した結果であると思う」と説明している。
また、義塾が保有する有価証券の評価損は、一昨年度、リーマンショックの影響を受けて、約170億円を計上したが、昨年度はその反省からリスクを避ける堅実な運用管理を徹底した結果、約36億円計上したにとどまった。
大古殿氏は「昨年度は一昨年度と比べ改善した点もあったが、依然として支出超過の厳しい状態が続いている。これからも財政状況の回復に向けてさらなる努力が必要」とコメントした。
なお、財務の概要については、義塾のホームページ上で公開されている事業報告書に掲載されている。