2019年末に感染が確認され、わずか数ヶ月でパンデミックと化した新型コロナウイルス感染症。緊急事態宣言による外出自粛をはじめとし、日常生活にも多大なる影響を与えた。
「コロナ禍で慶大はいかに変化したか」。さまざまな組織を取材すると、どの組織も困難を乗り越えるため工夫を凝らしてきたことが見えてきた。マスク着用が個人に委ねられるなどコロナ禍以前の生活が戻りつつある今、格闘の3年半を振り返る。
通信教育課程に所属する塾生を支える「慶友会」。半学半教の精神を体現すべく、コミュニティ内で助け合いながら学習に励む環境がそこにある。他の塾生との交流がままならなかったコロナ禍を、通信塾生はどのように乗り越えたのか。その鍵を握るコミュニティのひとつが湘南慶友会だ。今回は、会長・小関雄介さん(法乙)ならびに副会長・永後佐知子さん(同)にお話を伺った。
「わたしたち、ほんとに入学したんだよね?」入学当初、多くの塾生がそう思っていた。コロナ禍の影響で入学式を初め対面の機会が減少したことにより、モチベーションを保つことができずに退学を考える人も多かったそうだ。
通信課程の学習は通学課程とは異なり、自学自習をもとに毎期4000から8000字のレポートを提出して単位を取得する形態である。通信生のほとんどが社会人であり、仕事や家事と学業を両立することは容易ではなかった。
そんな中、通信塾生間で悩みをシェアしたり、学習サポートを行うことで共に卒業を目指すのが、慶友会の提供する環境である。コロナ禍の影響でスクーリング(通学をして授業を受けるもの)や懇親会は無くなってしまったが、オンラインでのコミュニケーションが大事だと判断した湘南慶友会は、IⅭTを積極的に導入することで塾生同士の縁を繋いだ。例えばグーグルチャットを活用して役員間の連携を図り、SNSを利用してPRに力を入れたりした。内部の活動を公開することで、本当にコミュニティを必要としている人が集まってきてくれたという。
世界的パンデミックを、知恵を出し合って解決していく過程で生まれたノウハウは、次の世代につながる武器だ。「コロナ禍がマイナスだったと感じたことはない」と小関さんと永後さんが口を揃えたように、同じ方向を向いている人と共に歩いていく道を作ることができたのは、きっとコロナ禍というきっかけであった。それは、団体をどのように機能させていくのかという方針を見直す良い機会になったというのだ。今後の目標について、小関さんは「通信課程と通学過程をミキシングして共存していくことだ」と語った。高いポテンシャルを秘めた通信塾生と肩を組んで乗り越えたコロナ禍。通信塾生の未来を支える慶友会のこれからに目が離せない。
(川﨑咲桜)