6月から、夏期インターンなど就職活動が本格的にはじまっている。「何から始めるべき?」「どうやって希望の業界を決めればいいの?」と悩む塾生も多いだろう。そこで、4名の塾員に各業界の対策方法を中心として、就活についてインタビューした。今回は現在通信系企業に勤める塾員に話を聞いた。
通信系企業での業務 お客様の声を活かし、サービスの向上に貢献
――現在、どのような仕事をされているのでしょうか。
私は、通信系企業のCS(カスタマーサービス)という部署で働いています。この部署では、お客様の声を集めて分析し、自社サービスの向上に役立てる業務を担当しています。お客様のご意見をもとに、自社サービスの品質改善や応対の向上につながる方法を考え、企画を推進しています。
――現在の職場での、やりがいや楽しさを教えてください。
私はまだ若手なので、大きな仕事を任されているわけではありません。しかし、サービスを実際に企画・運営している上層部とは異なり、CSはお客様の声を身近に聞くことができる部署です。お客様との距離の近さが、やりがいにつながっています。特に、自社サービスに対して喜びや満足を感じているという意見を頂いた時には、仕事に対するモチベーションが上がります。一方で、厳しいご意見を頂いた場合にも、自社サービスの改善につながる貴重な声として前向きに捉えています。お客様の声を実際に知ることは、将来どの部署に異動したとしても、役立つ経験になると思っています。
――反対に、大変な部分はありますか。
1つは、苦情の多さです。通信サービスは入り組んだ内容が多く、他の業界に比べても一二を争うほど、顧客からの苦情が多く寄せられます。私の場合、お客様の対応を直接しているわけではありませんが、お客様の辛辣なお声に触れることで精神的に疲れることもあります。
また、CSという部署は、お客様の声を収集・分析して課題解決のための企画案を上層部に報告することが多いです。目上の人に納得していただくために、筋道立てて説明することは難しいですし、気が引けることもあります。
通信業界への志望動機と企業選択 フィールドの幅広さとやりがいの追求
――それでは、通信業界を目指した理由やきっかけを教えてください。
通信業界は、“通信“を軸に多種多様な事業を展開しています。私は、就活をするなかで、やりたいことを一つに絞ることができませんでした。そのため、入社してから挑戦できるフィールドが幅広い通信業界は、私にとって魅力的な選択肢の一つでした。
また、私には人々の生活を根底から支えるようなやりがいのある仕事をしたいという漠然とした思いがありました。私は、就活を始める時期にコロナ禍に直面したこともあって、通信業界の社会的な重要性を身に染みて実感していました。こうしたコロナ禍での経験は、通信業界を志望する大きな理由の一つになっていたと思います。
――最終的に、現在の企業に入社を決めた理由を教えてください。
1つ目の理由としては、さまざまな業界や企業があるなかで、私が現在勤務している企業は特定の分野にとらわれず、多様なフィールドに挑戦できる環境を提供していると感じたからです。2つ目は、OB/OG訪問を通じて社員の方々とお話をするなかで、社風が自分に合っていると感じたからです。具体的には、落ち着いた雰囲気でありながらも、自分のやりたいことに前向きで、各社員が胸懐に情熱を持って働いている姿に魅力を感じました。
その他にも、近年の潮流としては当然ですが、福利厚生が手厚く、ワークライフバランスを重視していることも理由の一つです。実際に、会社が一丸となって残業には厳しく取り組んでおり、残業をしていると上司から注意を受けることもあります。さらに、有給休暇も十分に取りやすく、むしろ有給を消化しきってしまうと仕事が終わらなくなるほどです(笑)。女性の働きやすさにも力を入れており、結婚や出産の時には、かなり配慮されています。
通信業界への就職には、特別な知識やスキルが必要!?
――通信業界を受けるにあたって、必要な知識やスキル、あるいは他の業界と異なる特有の対策方法などはありましたか。
「どうして通信業界に就職したいのか」「通信業界でなければならない理由は何なのか」という理由を明確にしておくことは大切だと思います。一方で、初期配属領域を確約しない選考方法だったということもあり、特定の知識やスキルを要求されることはありませんでした。むしろ、応募者のパーソナリティーが重視されていたように感じます。ただし、データサイエンティストコースのような、専門的なポジションで採用される選考方法の場合には、特定の知識やスキルは必要になってくると思います。
就活はどのように進めるべきか マクロからミクロの視点で
――就活に関する情報は非常に多く、どこから手をつけていいのか、どのように情報を収集・取捨選択していけば良いのか、わからない学生も多いと思います。就活をするにあたって、いつから、どのようなことを始めましたか。
私は、3年生の6月ごろから始めました。ちょうど、就活が本格化する時期ですね。最初は、合同説明会に足を運んだり、YouTube上で各業界・企業の概要についての解説動画を視聴したりしていました。私の場合、時間が限られていたため、短時間で多くの情報を収集できるYouTubeの解説動画は非常にありがたかったです。基本的な業界や企業の情報を集めた後で、個別説明会に参加するなどして、業界や企業を細かく調べていきました。
インターネット上には就活に関する情報が溢れています。しかし、その情報量に圧倒されるのではなく、冷静になって、大まかな情報から、段階的に詳細な情報を掘り下げていくと良いと思います。
――就活時に心がけていたことや、メンタルケアの方法があれば教えてください。
不採用の場合でも、あまり気にしないことが重要だと思います。大学受験と異なり、優秀な人物だからといって、必ずしも採用されるわけでないのが就活です。過度に落ち込まないためにも、「企業に評価されている」と思うのではなく、「企業は自分の適性を見極めてくれている」と受け止め、不採用の場合でも、「この企業は自分には合っておらず、面接官がそのことを事前に教えてくれたのだ」と前向きに捉えると良いと思います。不採用が続くと、どうしても“自分はいらない”と突きつけられているように感じてしまい、つらくなる時は必ずあると思いますし、私にもありました。しかし、考え方を少しだけ切り替えるだけで、気持ちが楽になることもあります。「発想を転換させて、どれだけポジティブな姿勢を保てるか」が、就活時におけるメンタルケアの鍵を握っていると思います。
就活は人生の中継点 未来を切り拓くためにも自分にマッチした企業を
――最後に、これから就活を行う学生、通信業界を目指す学生にメッセージをお願いします。
就活は、“自分と企業との相性を見極める”ためのイベントだと思います。「自分の長所や短所を受け入れてくれる企業に出会うために就活をするのだ」と思って、ぜひ楽しんでください。また、就活は人生におけるゴールではなく、その先には、長い会社員生活が待っています。将来の人生を有意義にするために就活をしているのだと思って、頑張ってほしいと思います。
皆さんに合う企業が必ずあるはずなので、自信を持って就活をしてください。応援しています!
今回は、大手通信系企業に就職された塾員の方にお話を伺った。
「自分の長所や短所を受け入れてくれる企業に出会うために就活をするのだ」「就活は人生におけるゴールではない」という温かいメッセージが非常に印象的だった。塾員が語った数多くの言葉の中には、自分自身の就活に役立つヒントがあると思う。各自が、それぞれの心に刻んで、活かしてほしい。