江藤監督、1年目で快挙
今年度東京六大学野球春季リーグで、慶大野球部は2004年秋季以来11季ぶり、32度目の優勝を決めた。慶早戦で勝ち点を挙げたほうが優勝という状況の中で、慶大野球部は早大に2勝1敗で勝ち越し。江藤省三監督は就任1年目で慶大野球部を優勝に導く快挙を果たした。=関連記事2面(劉広耀)
10季ぶりに慶早戦が優勝決定戦となった今季。第1戦、慶大は早大のエース斎藤に対して、少ないチャンスをものにし、勝利を収めた。2戦目は初回の失点が最後まで響き、敗戦。
第3戦は快晴の空の下で行われた。この日の江藤監督の采配は見事に的中。今季リーグ戦初スタメンの竹内一(商4)が先制適時打を打つなど大活躍した。打順を1番から3番に変えた山口はダメ押し2点本塁打を放った。最後に湯本主将(商4)がウィニングボールを掴むと、選手たちが一斉にマウンドへ駆け寄り、江藤監督の体が三度宙を舞った。
江藤監督は優勝インタビューで「最高、言いようがないです。選手たちはよくやってくれました。一人ひとりが本当に頑張った」と目を潤ませながら答えた。湯本主将は「本当に嬉しいです。最高の仲間たちと監督に巡り会えて本当によかったです」と笑顔で語った。
大会閉幕後、ベストナインが発表された。慶大からは投手に竹内大(環2)、捕手に長崎(商4)、三塁手に松尾(環4)、外野手に伊藤(環3)が選ばれた。
* * *
今回の優勝は竹内大と福谷(理2)の活躍によるところが大きい。昨年の投手陣の大黒柱・中林が抜けて、投手陣全員が神宮未勝利と、慶大の投手陣の下馬評はけっして高くなかった。
その中で、東大との開幕戦で竹内大がいきなりノーヒットノーランを達成。その後も法大、立大、明大戦で勝利を挙げた。「ゆったりとしたフォームで、打者にとってタイミングが取りづらい」と本人が自分の持ち味を話す。また、今季の竹内大は走者を出しても、粘り強く抑えるのが特徴的である。
一方、福谷は150㌔を超える本格派右腕で、速球で打者をねじ伏せることを売りにしている。リーグ戦後半はリリーフに回ることが多かったが、明大第2戦で相手の後半の反撃を退くなど、チームに大きく貢献した。
就任1年目で慶大野球部を優勝に導いた江藤監督の功績は大きい。慶大初のプロ野球出身だけあって、昨年12月の就任以来、注目が集まっていた。その大きなプレッシャーの中で、「陸の王者」を蘇らせた。
就任後、一番取り組んできたのは基礎練習である。特に素振りの大切さを選手たちに説き、1日1000スイングという厳しいノルマを課した。そんな地味な練習でも選手たちは監督のことを信じて練習した。長崎が東大戦で本塁打を放った際に「オフの振り込みがなかったら、今日の本塁打はなかったと思う」と語ったように、選手たちが監督の方針に応えた成果が今回の優勝につながったのだろう。