連続テレビ小説「あぐり」や大河ドラマ「利家とまつ」などのプロデューサーとして知られる、浅野加寿子氏が先月27日、メディア・コミュニケーション研究所の公開講座で講演を行った。
講演では歴代連続テレビ小説や大河ドラマについて、新旧作品の画像と合わせてその長い歴史を語った。
制作統括を務めた「あぐり」では同氏ならではの制作秘話も。応募1739人から抜擢したというヒロイン役の田中美里さんについて、「ロケ前日は、ちゃんと演技が出来るのかと考えて眠れませんでした。けれど迎えた当日の最初の場面、テイクワンでOKを出し、胸をなで下ろしました」と撮影当初の切迫した心境を語る場面もあった。
大河ドラマに関しても、浅野氏のプロデューサー転身のきっかけとなった「独眼竜政宗」、制作総指揮を務めた「利家とまつ」をはじめ、歴代作品について様々なエピソードを披露。「利家とまつ」については時代考証やロケ地の選定、足かけ4年の制作期間の内訳など、自ら指揮を執った制作の舞台裏をのぞかせた。
講演会の最後には、本講演のタイトルにもなっている「テレビドラマの力」について、「テレビドラマには、舞台となった地域への経済効果や、それぞれの人生の節目を思い出すといった効果があります。でも一番は、思いやりの心を豊かにし、人を癒す力。豊かな人間性を養い、本当に救われるくらいに癒される、これこそがテレビドラマの力だと思います」と語った。
浅野氏は慶大文学部を卒業後、NHKに入局。教育番組でディレクターを務めたのち、ドラマプロデューサーに。現在はNHKを退職し、NHK放送博物館館長を務める。