2年生投手の活躍光る
東京六大学野球春季リーグの全日程が終了し、慶大野球部は6年ぶりの王座に就いた。立大戦では1勝2敗と負け越すも、続く明大戦で2連勝し、優勝決定戦を早大戦に持ち越した。早大第1戦では数少ないチャンスを掴み勝利。第2戦は初回の投球の乱れが響き敗れたが、第3戦では早大の3投手を前に打線がつながり、勝利を収めた。慶早戦が優勝決定戦となった今回、慶早戦には3試合で延べ約9万4000人の観客が来場した。 (劉広耀・内田遼介)
―立大第1戦
4番、不調脱出
勝利に貢献
慶大は4番の活躍とエースの粘り強い投球で、4―1で立大との初戦を制した。
試合は初回からいきなり動いた。四球で出塁した走者2人を置いて、4番の伊藤(環3)のフェンス直撃の適時二塁打で先制。6回に山口(商4)、7回に再び伊藤の適時打で追加点を挙げ、立大のエース岡部を攻略した。
慶大先発の竹内大(環2)は「調子はよくなかった」と試合後に語ったように走者を出したものの、要所を押さえる投球で完投を果たした。
今季に入ってなかなか調子の出なかった伊藤。「休みの期間は自分なりに修正してバットを振ってきた。100%ではないが、今日は今季で初めていい状態になった」と話すように2本の適時打を含む4打数3安打3打点と大活躍し、チームの勝利に貢献した。
―立大第2戦
投手陣精彩欠く
1勝1敗に
慶大先勝で迎えた立大戦第2戦は、二投手が計4本の本塁打を浴びるなど9失点を喫する惨敗となった。
2回裏、慶大先発投手福谷(理2)は2ラン本塁打を浴び、先制を許す。続く3回には2打者に本塁打を浴びるなど屈辱の3回5失点で降板する。その後も手計(政4)、田中宏(環4)、山形(政1)などの投手が継投するが、立教打線の勢いはとまらず敗北した。
福谷はHRなどの大量失点について「残念の一言。自分の力不足を痛感した。明日以降は切り替えてやっていきたい」と悔しさをにじませた。
一方、打線は伊藤(環3)が2試合連続猛打賞を記録するなど、チャンスの場面は幾度も見られたが、得点圏であと1本がつながらなかった。
―立大第3戦
立大に痛い敗戦
優勝に黄信号
優勝の行方を大きく占う立大との第3戦。慶大は投手陣が踏ん張ったものの、打線が繋がらず、大事な勝ち点を落とした。
慶大の先発投手は竹内大(環2)。序盤から制球に苦しみ、味方の失策からの失点などの不運もあったが、それでも6回2失点と粘り強い投球を見せた。リリーフの山形(政1)、福谷(理2)も走者を出すものの、何とか凌いだ。
この日の慶大打線は繋がらず、再びタイムリー欠乏症に陥った。8回まで毎回走者が出塁し、5度も得点圏に走者を出しながら、適時打が出ない。結局、得点は伊藤(環3)と福谷の本塁打の2点のみに終わった。
江藤監督は試合を振り返って「タイムリーが出ない。タイムリーで得点するのが一番理想。負けて悔しい」とコメントした。
―明大第1戦
接戦を制し
明大に先勝
明大第1戦は背水の陣で臨んだ慶大が3―2で勝利し、優勝への可能性をつなぎとめた。
4回、好投していた慶大の先発竹内大(環2)は、明大に1点を先制される。
しかし7回、慶大は松尾の適時打で同点とする。その後再び1点を失うが、1点ビハインドで臨んだ9回、松尾の適時二塁打と長崎の適時打で2点を返し逆転に成功する。その後は福谷が9回を抑え、明大初戦を勝ち星で飾った。
この日2安打2打点と大活躍した松尾は9回の打席について「自分でランナーを返すことは考えたが、欲を出さずにいつも通りやることを心がけた」と語った。
―明大第2戦
一発攻勢で
勝ち点得る
慶大が4―3で明大を下し、優勝決定戦を慶早戦の舞台に持ち越した。
慶大は3回、松尾が明大の先発西嶋からHRを放ち、2点を先制する。さらに、6回には松尾のHRで一挙2点を獲得し勝ち越した。
守りでは、先発投手の竹内大が6回を投げて失ったのは3被安打、味方のエラーに絡んだ2得点のみと、エースとしての存在感を見せつけた。
勝ち越しHRを放った松尾は「まさかHRになるとは思わなかった。早慶戦は何がなんでも勝ちたい」と意気込んだ。
―早大第1戦
チャンス生かし
早大初戦を制す
超満員の中で試合が行われた慶早戦第1戦。慶大は数少ないチャンスを掴み、2―1で勝利した。
慶大は4回に湯本の中前安打をきっかけに2死一、三塁の場面で高尾康(商4)の適時打で先制。この日の早大先発のエース斎藤は制球、ストレート、変化球ともに冴えており、慶大打線は先制後、斎藤の前に沈黙し続けた。しかし、9回に湯本の二塁打で再びチャンスを作ると伊藤のライト線を襲う適時三塁打で追加点を挙げた。
慶大先発の竹内大はほぼ毎回得点圏に走者を出すもいつものようにピンチの時でも粘り強い投球で切り抜く。9回にも味方の2つの失策により走者一、三塁で再びピンチを招き降板したが、リリーフした福谷が抑え、早大の反撃を退けた。
江藤監督は試合を振り返って「ハードだった。面白かったし、きつかった」と笑顔で語った。湯本主将は「チャンスをものにできたのが勝利に繋がったと思う」と振り返った。
―早大第2戦
初回の失点
重くのしかかる
前日に慶大が勝ち星を奪い優勝に王手がかかった試合は、4―2で慶大が敗れた。
1回、慶大先発投手福谷は制球が定まらず、満塁のピンチを迎える。ここで次の打者に安打を許し、一挙3失点を喫する。1回以降、福谷は徐々に本来の投球を取り戻し、7回までを4安打3失点に抑え、マウンドをあとにした。
福谷の1回以降の好投に援護を与えたい打線。1回裏、早大先発福川の乱調に乗じて満塁にした慶大は、打撃妨害による押し出しで得点するが、得点は1点に留まった。
その後は、伊藤がソロHRを打つも、持ち直した福川の前に打線がつながらなかった。
試合後、福谷は投球について「初回は丁寧に投げすぎたが、自分のボール自体は投げることが出来た。明日は全員で勝ちにいくだけ」と語った。
―早大第3戦
打線が繋がり
天王山を制す
第3戦まで縺れ込んだ慶早戦。慶大は打線が繋がり、早大の豪華投手陣から6点を奪い、勝利を掴んだ。
慶大は2回、走者2塁に置いて、竹内一(商4)が右中間へ適時打を放ち先制した。さらに相手捕手の後逸でもう1点を追加。5回には三番に座った山口(商4)のツーランでリードを広げた。その裏に慶大先発の竹内大が早大打線につかまり、2点を返されるが、6回に伊場(政3)の中前適時打や相手の失策で2点を追加し、早大を突き放す。
この日、今季初スタメンの竹内一は2回の先制適時打や6回の左安打でチャンスを作るなど、4打数3安打と大活躍し、チームの勝利に大きく貢献した。
江藤監督は優勝の感想について「最高です。言いようがない」と喜びを噛み締めた。