この春、慶應義塾大学に入学する新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。
さて、本校には塾生たちの間でのみ通じる、いわゆる「塾生ワード」というものがいくつか存在する。慶大でのキャンパスライフに根差したオリジナリティの高いものが多く、中には初見では意味が分かりづらく使いどころが難しいものも多いので、以下に代表的な塾生ワードを掲載した。さらに、独断と偏見ではあるが、ワードの知名度に合わせて星印による三段階評価をつけさせてもらった。ここに乗せたのはほんの一部であるが、参考にしていただければ幸いである。

来日/在日 ☆☆☆

おそらくもっとも有名な部類に入る塾生ワード。ほとんどの塾生は1年ないし2年で日吉キャンパスを離れ、それぞれの学部が所属するキャンパスへ移るが、単位を十分に取れなかった者が日吉へ来ることを「来日」、留年して日吉にとどまることを「在日」という。さらには日吉を脱出できずに大学を辞めることを「日没」というらしい……。

メディア ☆☆☆

塾生にとってメディアとは、もっぱら「メディアセンター」、つまり図書館のこと。読書、勉強、スマホいじり、居眠りなど、公序良俗に反さない限り使い道はあなた次第。テスト期間中は混み合うので生協の先にある「藤山記念館」の自習室を使うこともお勧めする。

自主休講 ☆

自主的に講義を休むこと。要はサボりを格好つけてこう表現しているのだ。

新・日吉記念館 ☆☆

2020年3に生まれ変わった日吉キャンパスのシンボル。入学式で訪れるキャンパスの奥に鎮座する純白の建物がそれである。あまりの神々しさからついたあだ名は「神殿」。普段は体育館として利用されている。

塾生/塾員 ☆☆☆

よく耳にするこの二語の違いを皆さんはご存じだろうか? 在学中の慶大の学生を「塾生」、かつて在籍していたOB、OGを「塾員」と呼んで区別している。

塾長 ☆☆

本学の学長のこと。現在の塾長は理工学部所属の伊藤公平教授。日本の量子コンピューター研究におけるパイオニアである。

ぎんたま ☆☆

日吉駅改札前に設置されたメタリックな球体のモニュメント。塾生定番の待ち合わせスポットとなっている。彫刻家・三澤憲司氏の作品であり、正式名称は『虚球自像(こきゅうじぞう)』という。

福澤諭吉像 ☆☆☆

日吉メディアセンター前にある福澤先生の胸像。こちらも塾生定番の待ち合わせスポットになっている。この像にイタズラすると留年になるとか、放塾になるとか……。

銀杏並木 ☆☆

日吉キャンパスの入り口から奥へと続く銀杏並木。秋には美しい黄金色に染まるが、「入学してから銀杏が散るまでに恋人ができないと、大学4年間ずっとできない」という不吉な伝説も存在する。

慶早戦 ☆☆

野球をはじめとする、各種スポーツの対早大戦のこと。試合当日はほとんどの授業が休校になるなど、慶大がいかにこの試合にこだわっているかがうかがえる。くれぐれも「早慶戦」などと口走らないように。

ひようら ☆☆

日吉駅の西口に位置する、放射状に延びた商店街のこと。田園調布の街並みにどことなく似ている。お昼時には腹をすかせた塾生たちでにぎわう。商店街を「うら」(=慶大が「表」)と断言するこの名前に、塾生の自意識が垣間見える。

法政 ☆☆

法学部政治学科のこと。某大学のことではない。

放塾 ☆

日吉キャンパス在学中に慶大を退学になること。なお、「幼稚舎から慶應義塾に通っていた人間が放塾されると最終学歴が幼卒になる」というのはデマである。

来往舎 ☆

日吉メディアの向かい側にあるガラス張りの大きな建物。教授たちのオフィスや研究室が入っている。基本的に塾生が立ち入る機会はほとんどないが、教授と仲良くなると特別に入れてもらえることも。

若き血 ☆☆

慶大を代表する応援歌。愛校精神に燃える塾生は大体歌える。各種スポーツの試合で歌われるのはもちろんのこと、感情の高ぶったあらゆるシーンで歌われ、塾歌に勝るとも劣らない知名度を誇る。対を成すは早大応援歌の『紺碧の空』。赤と青のコントラストが美しい。

〇〇君 ☆

慶大において「先生」とは福澤先生ただ一人のみ。そのため大学からの声明などでほかの教職員は君付けで呼ばれる。しかし、教職員に面と向かって君付けで呼ぶ塾生はまずいない。

 

数多の学生が一つの大学で学ぶ以上、おのずと共通言語が生まれる。用語をマスターすれば、学生同士のコミュニケーションが円滑になるだろう。あなたも塾生ワードを覚えて、よきキャンパスライフを!

 

(王駿)