自分の夢を純粋に持ち続け、挑戦することを忘れない
「自分のやりたいことを仕事にしたい。ごまかして守りに入りたくはない」
そう語るのは、2008年に文学部を卒業した福村駿介さん。おおよそ予備校講師のイメージとは違った、おしゃれで気さくな若者であるが、こう見えても世界史専門塾「史塾」の経営者兼講師なのだ。
「自分が浪人した時お世話になった予備校の先生の、勝負の世界に身を置いている姿が格好よくて憧れました」
浪人時代からすでに、世界史を教えたいというはっきりした夢を持っていた福村さんは、大学入学直後からその夢のため、オリジナルのテキストを用いた授業で、予備校で教鞭をとっていた。そして大学卒業後、すぐに、自ら史塾を旗揚げしたのだ。
「授業は僕にとっては自分を表現する舞台になるから、自分の塾で自分の理念を実現したかった。もちろん、周りからの影響を受けたり、守りに入ったりするのが嫌いな性格というのもありましたよ」
人が空間を作って空間が人を作る。その理念の元、史塾ではとにかく人間同士のつながりを大事にしているという。大手予備校のような大人数の授業では一人一人の顔が見えない。少人数制を採ることで、コミュニケーションを活発にし、生徒と共に空間を創り上げる感動がある。卒業生とも付き合いを続けることで、交流の輪は広がり続ける。
起業するという選択肢にほとんど不安はなかった。「多くの人が夢を叶えたいと言うが、実際に夢のために動く人は少ないと思う。それはすごく勿体無いこと。実際に行動を起こしてみて欲しい」と福村さんは話す。
単なる受験対策で終わることなく、歴史の役割を生徒に教える使命も忘れない。
「歴史は僕たちのこれからを指し示してくれるもの。歴史は繰り返し続ける。その感動や大切さを僕から学んでくれた卒業生が、これから社会で活躍してくれるのがとても楽しみ」
就職活動を控える学生には、自分自身のことをよく知って欲しいと語る。「人それぞれ向いている事も、性格も違う。まずは、自分を良く知ること。頭でっかちにならないで、自分のやりたいことを追う純粋さを持ち続けてほしい」
挑戦する姿勢は失いたくないという福村さんは、現在もやりたいことを徹底的にやりぬくという信念を胸に、次の目標に進み続ける。
(太田裕)