日吉駅の隣にある綱島。知らない塾生も多いかもしれないがかつての綱島は温泉街であった。大正期に温泉が湧き出て以来、最盛期には80軒もの旅館が立ち並び、「東京の奥座敷」と称された。

綱島の温泉には黒くぬめりけがあることが特徴。また、冷え性の改善や皮膚の乾燥防止など嬉しい効能がある。

昭和8年に建立されたラジウム霊泉湧出記念碑

現在の綱島温泉街としての賑わいこそ失われてはいるものの、数件の温泉施設が存在する。

1953年創業の富士乃湯。ビルの3階には綱島卓球センターも併設されている

綱島温泉「富士乃湯」

私たちが向かったのは、綱島駅から徒歩8分にある「富士乃湯」だ。賑やかな通りを抜け住宅街を進むと見える、赤いレンガに煙突がトレードマークの「富士乃湯」は、昔ながらの温泉銭湯で、その様相は時折私たちをノスタルジックな気持ちにさせる。

暖簾を潜り、番頭の女性に入湯料を払う。ワンコインで入ることができ、サウナを含めても660円と、学生のお財布事情にも寄り添う値段だ。

脱衣所はとても清潔感があり、天井が高くロッカーも胸の高さほどだったためより広く感じた。浴場の扉を開けると、壁一面に色鮮やかな富士が描かれている。また、富士の絵の下には水槽があり、鯉や金魚が泳いでいるのを見ながら温泉に浸かるというのも乙なものである。

名物5つの湯とサウナ

富士乃湯では通常の風呂に加え、ラジウム鉱泉、電気風呂、ジェットバス・寝湯の5つの湯を楽しむことができる。ラジウム鉱泉は放射能元素のラドンによる新陳代謝の向上や、神経症への効果があるという(綱島温泉ではラドンの含有量が少ないため国が定める放射能泉には該当していない)。

お湯の温度は41℃前後となっており、あまり長湯をするとすぐにのぼせてしまうので注意が必要。少し熱めのお湯に肩まで浸かると、フッと全身の疲れが飛んでいく。

浴場を入って左手には休憩所とサウナがある。サウナの中は2段6人がけだが、あぐらをかくことができる広いスペースがある。

サウナに入ったらまず、番台でもらった専用のタオルを席に敷く。中の温度は85℃〜90℃と呼吸が苦しくならないくらいの暑さでちょうどいい。一人で考え事をするもよし、TVを見ながら時間が過ぎるのを待つのもよし。十分に汗をかいたところで水風呂に入る。水風呂も20℃と冷たすぎない温度にバイブラ(ブクブクと泡が出る風呂)もあるので、火照った身体にとても効く。

休憩所は外気温だが風は入らない構造なので、整うにはぴったりの場所だ。浴場に戻り、寝風呂に浸かるのもいいかもしれない。六人がけで常連さんも多いので、友達何人かと一緒に入るタイプのサウナではないが、静かで充実した設備は一人二人で訪れ、授業や部活の疲れを癒すには最高の場所だ。

温泉に浸かり疲れをとるもよし。サウナで汗を流し整うもよし。日吉に通う塾生はぜひ綱島まで一走りして富士乃湯に足を運んでみるのはいかがだろうか。

 

 

(櫻井優悟、杉田雅祥)