東京六大学野球春季リーグが開幕した。慶大野球部は監督が変わり注目が集まる中、東大、法大から勝ち点を奪った。東大戦では竹内大のノーヒットノーランなどで連勝、法大相手には初戦を落としたが、その後は2連勝を飾り、優勝に向けていいスタートを切った。 (内田遼介・劉広耀)
竹内大、21年ぶりの
ノーヒットノーラン
東大第1戦 圧巻の投球で開幕戦を制す
慶大の開幕戦となった東大戦第1戦は、投打が噛み合い、7―0で制した。
この日圧巻なのは開幕投手に指名された竹内大(環2)のピッチングだ。立ち上がりに3者連続三振と最高のスタートを切る。制球に苦しむ場面もあったが、捕手の長崎(商4)が「真っ直ぐが良く、全体的にボールが非常に来ていた」と話すように、ストレート、変化球共に冴えていた。
結局9回まで完投し、13奪三振、被安打0と六大学リーグ史上21人目となるノーヒットノーランを達成した。
竹内大はノーヒットノーランについて「5回ぐらいから意識したけれど、早く一本打たれて、楽になりたかった」と笑顔を見せた。
打撃では、双方無得点で迎えた2回裏、長崎がレフトスタンドへ今季第1号先制2ランを放った。その後も効率良く得点を重ねて、相手投手を打ち崩した。
東大第2戦 連勝するも適時打欠く
昨日、竹内のノーヒットノーランなどで快勝した慶大。この日も8―3で勝利するも課題の残る試合となった。
2―2の同点で迎えた5回表、満塁の場面で伊藤(環3)の犠飛や四死球による押し出しで再びリードを奪う。その後も湯本(商4)や伊藤のタイムリーで得点を奪い、東大を引き離した。
この日、慶大打線は8得点を奪ったものの、相手の四死球などでの得点が多く、タイムリー欠乏症に陥った。湯本主将が「残塁が多かった。そこを修正していきたい」と話すように、相手投手陣の乱調や守備のミスを上手く生かしきれない場面が多かった。14残塁とチャンスの時にも適時打がなかなか出なかった。
試合後、江藤監督は「ほっとしたけど、ちょっと緩んでる。1点を取りに行くことができないのは課題」と2連勝するも課題を口にした。
法大第1戦 好機生かせず初戦を落とす
昨春の王者である法大との1回戦。慶大はチャンスを上手く生かしきれず、1―4と敗れた。
慶大は2点のリードを許した4回。松尾(環4)の適時二塁打で1点を返した後、相手の好投手加賀美の前にチャンスを作るも、要所を押さえられ、結局得点を挙げたのは1度きり。相手のリリーフ投手も攻略出来ず、敗戦を喫した。
慶大先発の竹内大は7回3失点と先発投手の役割を果たしたものの、アンラッキーな内野安打タイムリーを浴びたうえ、打線の援護に恵まれず、負け投手となった。
試合後、江藤監督は敗因について「こっちに流れを寄せることが出来なかった。2―1の場面で流れをこっちに引き寄せないといけなかった」とコメントした。
法大第2戦 福谷、緩急自在の投球で相手を翻弄
25日、法大との第2回戦が開かれたこの日は福谷(理2)の活躍で完封勝利。対戦成績を一勝一敗とし、決着を26日の第3戦へと持ち越した。
慶大は4回、2死1、3塁から青山(環4)が左方向へ適時打を放ち先制。続く5回には法大のエラーもあり、福谷や渕上(法4)、松尾の適時打で2点を加え、法大を突き放した。
先発投手の福谷は前回の東大戦では6回2失点で、本人としては納得のいかない結果となった。今回の法大戦では立ち上がりこそ苦しむものの、2回以降は立て直して被安打4、10奪三振。9回裏の最後の打者に対してはその試合最高である145㌔を記録するなど、伸びのある直球と、本人も「初めて使ってみた」という、緩急をつけるカーブとチェンジアップで法大打線を翻弄、得点の隙を与えなかった。
試合後、福谷は「山口さん(商4)などの好守にも助けられて楽に投げることが出来た。完封というより、監督に言われたとおり目の前のアウトを一つ一つ取っていくのを意識した」と語った。
法大第3戦 完封リレーで勝ち点挙げる
1勝1敗で迎えた法大との第3戦。慶大は3投手の完封リレーで法大に2―0で勝利した。慶大はこれで勝ち点を2に伸ばした。
慶大は初回、ランナー2塁の場面で4番の伊藤が先制適時二塁打を放つ。6回に青山の適時打で追加点をあげる。
慶大の先発投手は竹内大。この日は制球が安定しており、打たせて取るピッチングで5回まで相手に二塁を踏ませない。6回にピンチがあったものの何とか凌いで、6回まで5奪三振、被安打3と好投。竹内大の後を受けた山形(政1)、福谷もそれぞれ好リリーフし、無失点に抑えた。
試合後、主将の湯本は「今日勝たないと意味がないので、気合を入れた。投手が要所、要所で抑えてくれたのでいい試合が出来た」とコメントした。江藤監督は「理想に近い野球は出来た。こんな野球がこれからも出来ればいい」と話すも、「まだ課題はたくさんある。次回へ向けてしっかりと調整しなければならない」とあくまでも謙虚な姿勢を見せた。