1月14日、Safe Campusは、昨年9月15日から10月29日にかけて実施した「第2回学内性暴力実態調査」の結果を公表した。調査により、①女子学生の被害が顕著に多い、②最も多い加害者属性は同級生、③被害者の7割がその後に相談機関を利用していない、などの実態が浮上した。結果を踏まえ、団体は義塾に対し新入生ガイダンスに性暴力に関する内容を盛り込むなど対応を求める方針だ。
同団体は慶應義塾の未公認団体で、学内での性暴力や性差別の根絶を目指す。前回調査は2020 年9 月で、約2 年ぶりの実施となった。結果のpdf は、以下のQRコードからも閲覧できる。
QRコード
回答者の24%が何らかの性暴力被害の経験があった。内訳では、最も多かったのが言葉による被害(18.8%)で、SNSなどオンライン上での性暴力(8.9%)、性的接触(7.7%)と続いた。被害経験があるとした回答は男子が11%であったのに対し女子は31.5%で、女子の方が約3倍多かった。女子は学部1年の時点で4人に1人は被害経験があると回答し、4年では2人に1人にまで増加した。「女子が慶大に入学すると卒業までに半数が何らかの性被害に遭う」現状を団体関係者は重く見る。どのような種類の被害でも、同級生による加害が最も多かった。被害状況では、飲み会やサークル活動が多く挙がった。
Safe Campus, 「第2回学内性暴力実態調査」, 2023-1-14, 20p
また、被害経験者の74.2%は学内の相談機関を利用しておらず、理由として「連絡するほど深刻に思っていなかった」「学内のリソースが足りると思えなかった」「どこに行けばいいのか、誰に言えばいいのかわからなかった」などが挙げられた。各キャンパスには学生相談室、心身ウェルネスセンター、ハラスメント防止委員会、三田法律相談といった機関が設置されているが、学部生の回答では「1つも知らない」「一か所だけ知っている」を合わせると69.2%にも上った。相談機関の認知度向上や、利用しやすい環境作りが課題となる。
これらの結果を踏まえ、団体は新入生ガイダンスに性加害に関する内容を盛り込むなど対応を義塾に求める方針だ。関係者は、「大学側が性暴力への認識を深める機会を提供すべき」と主張する。新入生に対しては飲酒・薬物などの注意喚起が行われるが、現状では性的暴力に関する内容は含まれていない。更に、「入学以降も、就活や留学など学生生活における様々な段階で注意喚起を繰り返す必要がある」とした。
内閣府男女共同参画局は、性暴力を「望まない性的な行為」としている。レイプだけでなく、手を繋ぐ、ハグやキスといった行為も同意がなければ加害行為となる。関係者は、「最も重要なのは相手を尊重すること。誰もが当事者意識を持って、同意の重要性を認識すべき」と語った。
(和田幸栞)