昨年12月22日に最終回を迎え、社会的現象となったドラマ、「silent」。ドラマ内でテーマの一つとなっていた手話に興味を持った方も多いのでは。今回は慶大の「手話サークルMiMi」で手話を学んでいる学生に活動や手話の魅力について話を聞いた。
手話サークルMiMiには通常活動として手話を学ぶ勉強会や、実際に聾者の方とコミュニケーションを取る交流会がある。11月の三田祭では手話で劇や歌を披露する舞台があり、メンバーはそれに向けて日々勉強に励んでいる。しかし、近年はコロナ禍の影響でオンライン活動を余儀なくされた。手話という「言葉」を勉強するからこそ、困難なことが多かったという。「対面新歓を準備していたので、オンラインでどう手話を教えるか、そもそも伝わるのかは模索状態でした」とメンバーの佐々波さんは振り返る。例年通りの活動では無かったが、オンラインだからこその「手話の学びやすさ」を実感する場面があった。「オンラインだと、聾者の方がチャットを利用してコミュニケーションを取ることが多かった。チャットという形だと、聴者も聾者もフラットに話せるのだなと気づいた」
今年手話を始めた小倉琴さんは手話の魅力について、自分の知っている世界が広がることだとはにかんで教えてくれた。「手話を学んでいくうちに、聾者の方の世界にも、私たちと同じように多様な文化があることを知った。今まで知らなかった世界や文化を、手話を通じて勉強することで、自身の世界が広がった気がする」と活動に手応えを感じていた。
そして、昨年11月の三田祭では、久しぶりに一般の観客を入れて劇や歌を披露することができた。劇や歌は三田祭のために皆で演目を考え、練習するいわば集大成の発表の場である。昨年は「silent」放送中ということもあってか観客も多く集まり、反響も大きかった。「『silent』が今やっているから気になってきてみた」、「ドラマで佐倉くんがやっていた『一緒」という手話と、手話劇で披露していた『一緒」という手話が違うことにびっくりした」などの感想が寄せられた。その反響に、サークルのメンバーも驚いたという。「『大丈夫』とか、『同じ』という手話は複数あって、場面や気持ちによって使い分ける。日本語としての言葉は一つでも、手話は奥深い。ドラマや私たちの発表をきっかけに、手話に興味をもってくれたら嬉しい」。
手話サークルMiMiは、皆和気あいあいと新歓や11月の三田祭に向けて一丸となって活動している。手話で話すことの魅力や楽しさを伝えていく彼らの活躍から目が離せない。
(吉野彩夏)