三田祭実行委員の騒がしい掛け声が響く第一校舎西側。102教室で喧騒に負けず存在感を示すのは、湘南学祭実行委員会による和装喫茶『たなさい茶屋』だ。今年初めて、三田祭期間の四日間出店している。
『たなさい茶屋』は七夕をモチーフにした和風の喫茶店。穏やかな空気に包まれた店内で、和菓子や抹茶に加え、夏祭りらしいラムネも販売する。短冊を利用した装飾や、法被を着たスタッフからは夏祭りの雰囲気が漂う。こどもからお年寄りまで万遍なく訪れ、多くのお客がのんびり息をつくために立ち寄っている。「彼女/彼氏ができますように」「フラ語必ず出席します」「今の部署から異動できますように」「法学部合格」…。来場者が記入した短冊から多種多様な人々の顔が浮かび上がる。
湘南学祭実行委員会が三田祭にかける想いについて、代表の新村彪雅さん(総2)、三田祭出店責任者の舟山純平さん(環2)に話を聞いた。
『たなさい茶屋』の出店は今年が初めて。学園祭同士の交流はコロナ禍で疎かになっていたという。「事務的な交流は今までもあったが、今回は企画としてしっかり関わりたい。慶應のお祭りは通年してあるので、バトンタッチリレーのように色々な慶應の学祭とつながりを持ちたいです」。今年は矢上祭でも「第33.5回七夕祭」と称して出店した。七夕祭をイメージした展示や、七夕祭の説明を通じて塾生へ七夕祭の広報を行っている。今回の三田祭展示では、時期違いでも「いかに七夕祭感を出すか」を意識した。
慶應の学園祭といっても、それぞれ個性は全く違う。三田祭は「大学の学園祭」なのに対し、七夕祭りは「地域に密着したお祭り」といった雰囲気だ。新村さんは日吉のサークルに所属していたが、七夕祭の認知の低さを感じたという。その思いが今回の三田祭出店につながった。「やっぱり七夕祭のことを多くの塾生に知ってほしい。遠く離れた場所だけれども、ぜひ一度見に来てほしいです」。
来年以降の開催については、意欲はあるものの未定だという。「今年は出店という形で携わった。来年は新たな形で協力できるのも素敵だと思います」と意気込む。
三田祭の中に小さく開いた七夕祭。慶應の学園祭は三田祭だけにはとどまらない。ぜひ今後足を踏み入れてみるのはいかがだろうか。
(乙幡丈翔)