中庭を西校舎に向かって進むと、「慶應スローフードクラブ(KSF)」の屋台が。開場直後とは思えない賑わいを見せるここでは、ギリシャの郷土料理「ギロピタ」を販売している。肉とポテト、パプリカをピタパン(中近東で主に食べられる平たく円形のパン)で包んだ一品だ。
スローフードクラブは、野菜の栽培と料理の二つを軸にする慶大公認サークル。代表の下山幸太さん(経2)が弊紙のインタビューに応じた。活動についてこう語る。
「日吉キャンパスの生協裏に畑を所有して、野菜を育てています。日本の大学でもうちだけみたいです。今年はあまり野菜の採れが良くなかったのですが、普段は自分たちで育てた季節の野菜で料理をすることもあります」
野菜の栽培に加え、月に数回市民会館の料理室を借りて料理をする「ビストロ」活動がある。ビストロ活動の軸は「世界の郷土料理を作る」ことだ。そもそも「スローフード」とは、伝統文化や地元産業を守るという理念のこと。三田祭で販売している「ギロピタ」も、ギリシャの郷土料理だということで今回採用された。
「ギロピタ」を作る様子を間近で見せてもらった。
鉄板で肉とポテト、パプリカを焼いていく。「最初タコスを作ろうと思ったのですが、三田祭では生の野菜が使えないとのことで、炒めた野菜を使うギロピタになりました。お肉は事前にちゃんと漬け込んで、スパイスも使っていて、おいしさには自信があります」。パプリカが鮮やかで、調理風景も来場者の目を引く。
トルティーヤにも焼き目を付け、ソースをかける。炒めた具を巻いて完成。
記者もできたてをいただいた。たっぷり入った具とソースのバランスが絶妙。こだわりのお肉も、味がしっかりしみ込んでいて食べ応えがある。
初めて聞くという人も多いであろう「ギロピタ」に、来場者の多くが足を止めていた。知れば知るほど奥が深い郷土料理。今後のスローフードクラブの活動にも目が離せない。
(三尾真子)