渡辺茂教授(社会学研究所)と共同研究者の兎田幸司さん(筑波大学大学院)は2007年度COE採択拠点「論理と感性の先端的教育研究拠点形成」の研究において、ハトが自分のビデオ画像を認知することを実証した。今回の実験によって、ハトの自己認知の能力が人間の3歳児よりも優れていることが明らかとなった。
まず実験では、ハトにリアルタイムの自己画像(A)と以前に撮影した現在の動きとは関係のない録画時の自己画像(B)を見せ、2種類の画像を区別させる訓練を実施する。ハトは画像(A)に数秒の遅れがあっても、以前に撮った画像(B)との区別ができることが分かった。この実験の結果によりハトに自己認識能力があることが証明されることとなった。
ハトが自己認識能力を持つことが実証されたことで、自己認知といった高次な認知機能が人間に近い猿人類のような動物だけではなく、多様な動物に見られるものだということが確認された。
渡辺教授は今後の目標として「ハトが自分と他の区別ができたうえで、さらに、相手の気持ちが分かるかという社会的認識の有無を調べる研究や自己認識時にハトの脳内でどのような機能が起こっているのかといった研究を続けたい」と語った。