確かな感覚で掴んだ優勝
全国から集まった総勢588人もの学生がしのぎを削り、学生麻雀日本一の座を争った第9回麻雀王国杯 学生麻雀甲子園。9月4日に行われた決勝で王座を手にしたのは、慶大のチームmjktだった。そこで今回は、mjktの決勝メンバーに話を聞いた。彼らの大会に対する思い、麻雀に懸ける情熱に迫る。
今回の優勝に関して、順当に手に入れたものであると同時に実感がないと彼らは話した。実践・座学双方を熱心に行い、真摯に努力している「完全無欠の4人」が集まった彼らにとって優勝は、かじり付いて追い求めるものではなく、普段の鍛錬の延長線上に存在していたものだと話す。「位置情報アプリで雀荘が自宅と認識されるほど、麻雀に打ち込んでいた時期もありました。そんな日々の鍛錬の結果、優勝という良い結末を迎えることができて嬉しかったです」。
1月の第26回青雀旗争奪学生選手権は惜しくも優勝を逃した。他チームを圧倒した予選と違って、決勝では運が悪く実力を出しきれずに敗北。手も足もでない敗北ではなかったため、正直不服な感情を抱えてしまった。その中でも絶対に次は優勝できるという感覚は確かにあった。
緻密な計算で掴んだ優勝
本大会では、予選で厳しい局面もあった。試合後半で下位チームに点差を迫られ、結果は0.9ポイント差での通過。立直棒(麻雀では1000点を支払うことで立直を打つことができる)1本の差で準決勝への切符を手にした。
準決勝を勝ち進んだ後の決勝戦では、副将戦開始時点で30000点を追いかける厳しい展開に。ターニングポイントとなったのは、副将戦のラスト、南4局での倍満だ。副将戦開始から一度も アガリをだせずにいた中、副将の安達選手は冷静だったという。「相手の状況を落ち着いて鑑みた結果、確信して立直をかけました。ツいてなかった中で紆余曲折を経て最後に自分の実力を出すことができてよかったです」。
副将戦終了時での点差は約12000点。十分逆転可能な状況は整った。その後の大将戦は波乱の展開だった。大将の横井選手が追いつけば点差を離されるシーソーゲーム。「一手一手ごとに優勝への道のりを緻密に計算し、ミスのない麻雀を打つことができました」。その結果、見事逆転し、mjktは優勝の栄冠を手にしたのだ。
麻雀の魅力とは
麻雀の魅力に関して「僕達の間でも切る牌の話をすることがありますが、同じ結論が出ることは全くありません。また、実際の麻雀でも自分の理想通りに進んだ局面もありません。実力が見えにくいですが、それ故に完璧を追求し続ける奥深さを持ち合わせているところ」と彼らは語る。将棋のプロに初心者が勝負を挑んでも必ず負けてしまう。しかし、麻雀においては十分素人が勝つ可能性がある。だからといって実力が関係ない訳ではなく、1打でその人の実力を推し測れてしまうこともある。その運による不完全さと、鍛錬による技術の絶妙なバランスにこそ麻雀の本質、魅力が存在するのである。
麻雀は最適な選択をとり続けていたら必ず良い結果がでるゲームだ。その点において麻雀は人生に通ずるものがあると彼らは指摘する。「でも身を滅ぼすので、麻雀はほどほどにしてください」。そう語る彼らの笑顔には麻雀に対する心からの愛と情熱、王者としての貫禄が溢れていた。
mjktは三田祭で模擬雀荘の出店を予定している。普段から麻雀を楽しんでいる人も、麻雀に興味を持っているがまた始められていない人も、学生日本一チームの雀荘に行き、麻雀の魅力に浸ってみてはいかがだろうか。
(黛亘)