辻愛沙子さんのインタビュー記事前半は政治のハナシ。その後編では、辻さんの望む政治像とこれからの政治に注目し、政治に関するインタビューを総括する。前編で辻さんの選挙への意識について取り上げているので、前編もあわせてお読みください。

 

 

これからの政治に望むこと

政治に関するインタビューの最後に、これからの政治に望むことを聞いた。一言で表せば、理想は、公平・公正で、情報の透明性が十分な政治だという。そのために必要なことは大きく三つあるという。

 

一つ目が、状況をより良くしたいという意欲に基づく行動を、ポジティブに捉える文化を作ることだという。国会での議論について言えば、野党の発言は不平・不満にしか聞こえず、メディアで発信される中でネガティブに捉えられることが多い。しかし、野党は与党を監視するという役割のために、与党の主張を批判する行為が必要なのだ。その意味で、野党は国会運営、さらには政治をより良くしたいという思いを持っているはずである。人々は、批判を忌避する文化、野党の役割を正しく理解した上で、野党をポジティブに捉えられない文化を改善していかなければならない。

 

二つ目が、国会議員の、国民の「声」を代弁する役割についてだ。若者から見ると、国会にはおじさん・おじいちゃんしかいないように映るのが現状である。そうなると、若者が自己投影できる議員が少なく、当事者意識がなかなか芽生えない。辻さんは、若者の選挙出馬が現状の打開の糸口になると考えている。選挙に落選したら恥ずかしい、選挙なんてどうせ地盤がないと勝てない、といったことを考える前に、より多くの若者が国政選挙に出馬し、当選することが必要である。そうすれば若者の声を背負う国会議員が増え、今の若者が生きる遠い将来についても政治が正しく検討する機会が増える。この状況は辻さんにとっては非常に面白いものだという。未来へのビジョンを持つ議員が増えることで、少子高齢化が進む日本の存続も可能になる。特に、ビジョンの中で必要なのが日本の未来を担う主幹産業を持つことだ。辻さんは日本の主幹産業として、“観光・食・文化・医療”が挙げられるという。モノづくりで発展した日本は、様々な産業のよりソフトな部分を資産とすることで安定した成長を実現できる。

 

最後に三つ目が、「個人」を大事にする社会づくりだ。所属する会社や家系といったラッピング・コーティングされた情報で人々を区別するのではなく、その人自身の能力や価値観によって個人を捉えることが必要だという。その上で、集約された最大公約数的なソーシャルイシュー(社会課題)とともに個々人の人生の痛みを反映したライフイシュー(個人課題)の解決にアプローチできるという。国連のSDGsが掲げる‟No one will be left behind”はこういった視点によって解決される。

 

 

辻さんはただ単に政治家を批判するのではなく、未来の社会や未来の政治を考えて、ポジティブに政治へアプローチする重要性を説いた。さらに、選挙が強制のものだと捉える考え方に疑義を呈した上で、選挙に行くきっかけは何でもよいとした。例えば、あなたは自分が日常生活の中で辛いと思ったとき誰かに相談すると思う。それと同じように、現代社会で生きる中で、消費税高すぎ!なんで選択的夫婦別姓はダメなの!、といったちょっとした不平・不満や疑問があったらぜひそれらの捌け口としての選挙に行こう。来る参院選の投開票は明日、7月10日だ。

 

辻さんのインタビュー記事後半では、辻さんのアイデンティティ・思考とその背景に迫る。お楽しみに!

 

(持松進之介)