今季から慶大野球部の監督に江藤省三氏が就任した。慶大だけではなく、東京六大学で史上初のプロ野球出身の監督となる。野球部は11シーズンもリーグ優勝から遠ざかっており、伸び悩んでいるだけに江藤氏の采配に期待が寄せられている。 (聞き手は劉広耀・内田遼介)
――監督に就任した経緯をお聞かせ下さい。
「就任する前に僕は野球部の技術委員会の委員長をやっていて、どうしたら強くなるかなどをいろいろと相談を受けていた。自分は今までプロにいた人間だからアドバイスは出来る。もともとこういうところ(大学野球部の監督)に入るという気はなかったが、前の監督さんの任期が終わる予定だったので、『やってくれないか』と言われてお受けした」
――就任する前と後の野球部への印象をそれぞれお聞かせ下さい。
「就任する前は、選手はそれぞれとてもいい才能を持ってると感じた。『こういうことをもうちょっとやればもっと強くなる』と漠然と思った」
「実際、中に入ってみて、外から見てるよりも、もっと能力高いし、強くなると思ったね。あとは頭がいいし、素直な子たちばかり。教えていることはすぐに身につくし、分からないことがあれば素直に聞いてくれる」
――監督自身の理想のチームとは。
「今まで自分の経験からするとピッチャーを含めた守りが勝敗の7、8割を占めている。そこがしっかりしているところは勝てると信じているから、まずは投手力を万全にして、そこから守りを固めたい。ピッチャーを中心とした守りのチームにしたいし、1点しか取っていなくても勝てるチームにしたいね」
――投手に関してですが、昨年のエース中林が抜けたのは大きいと思いますが。
「有力候補はいっぱいいるよ。開けてみたら慶應は一番いいかもしれない。それくらい期待してもらっていいと思う。開幕したらみんなが驚いて、慌てて研究するかもしれない」
――野手に関してはどうでしょうか。
「野手は昨年のレギュラーが5人も残っているので、戦力はアップですよ」
――ということは今のチームは監督の理想に近づいているということですか。
「試合は9人だけではない。その下にサブプレイヤーがいるかどうかが大事。だから頑張ってスーパーサブを育てている。今は捕手と外野はいいサブはいるけど、内野はあまりいないね。もし内野にいいサブがある程度出来上がったら、自分の理想のチームに近づくと思う」
――去年の秋季リーグの結果は本当に惜しかったと思います。監督はリーグ戦で勝つには何が一番重要だと考えますか。
「後から振り返れば惜しかった。『詰め』が甘かったね。試合で『こういうことをやったら勝てる』ということをやってないわけ」
「野球というのはいかに27アウト取れるかどうかだよ。例えば簡単にエラーしたというように、取れるはずだったワンアウトを取れなかったら、最後にツケが来る。それが負けにつながる。だからやる時は絶対にやらないといけない。そうすれば絶対に勝てるようになる」
――ずばり今季の目標は何でしょうか。
「大学日本一になることです」