矢島さん 伝統産業を教育に活用

八木田さん 廃校を利用し水耕栽培

学生が提案したビジネスプランを競う学生起業家選手権の決勝大会が2月7日、東京都庁都民ホールで行われ、慶大からは法学部政治学科3年の矢島里佳さんと、システムデザイン・マネジメント研究科修士課程1年の八木田寛之さんが出場した(学年は2月7日時点)。各プランは共に優秀賞を受賞し、全230プランのベスト3に輝いた。=関連記事6面    (陶川紗貴子)

今年で8回目となるこの大会は、東京都と東京都中小企業振興公社が主催。一次審査、二次審査、セミファイナルを経て、10組が決勝大会に出場した。決勝大会では各組が6分間のプレゼンテーションと質疑応答を行い、審査の結果3組の優秀賞が選ばれた。
この3組には賞金50万円などが授与され、会社設立まで各種フォローが行われる。今年度中に株式会社を都内に設置した場合はさらに100万円が事業資金として提供される。
矢島さんのプランは「伝統師をプロデュース!『なでしこキッズ』」。日本の伝統産業と子どもの教育を結び付け、子ども向けに特化した伝統産業品の開発・プロデュースなどをビジネスとするものである。
矢島さんはテレビ東京の「TVチャンピオン2なでしこ礼儀作法王選手権」での優勝経験を持つ。その起業家としての強いアドバンテージや完成されたPRが、審査員から高く評価された。
「伝統産業品には子どもに優しい素材も多いし、感性を育むこともできる。でも子ども向け専門に伝統産業品を作るような市場はまだ確立されていないから、自分でその分野を開拓しようと思った」と矢島さんは言う。
今回の受賞で自身のプランのニーズを実感できたと話す矢島さん。「今後は職人の方々との連携をさらに深め、商品開発に協力していただきながら、起業に向けて行動していきたい」と語った。
八木田さんは11人のメンバーと一緒にチームとして出場。「東京廃校再生『六本木ベジ&フルーツ』」というプランは、港区の廃校を利用して野菜や果物の水耕栽培を行い、それらを販売することで収益を得るビジネスである。
熱意のこもったプレゼンテーションと、ビジネスとしての骨格が出来上がったパーフェクトなプランが高く評価された。
リーダーである八木田さんは「農業と廃校利用を上手く結び付けられたことが最大のポイントだと思う。社会人メンバーもいるので、その経験も生かされた」と語った。