慶大生は自身のキャリアプランをどう考えているのだろうか。慶應塾生新聞会では、「塾生の理想の将来像とは?」と銘打ち、慶大生67人にアンケート調査を行った。アンケート項目は、①理想の年収、②志望業界、③起業・独立の意向の有無、④何歳まで働きたいか、⑤理想の人生プランの5つだ。
中でも特に興味深かった結果や、慶應生ならではだと感じた回答を挙げようと思う。
①では、理想の年収として、日本の平均年収の約400万円を上回る、500万円以上を挙げる人が全体の9割、1000万円以上を挙げる人も4割いることが分かった。自らの家庭環境や生活環境を反映しやすいこの質問は、世間から裕福なイメージを持たれる慶大生ならではの結果と言えるのではないか。具体的な数字としては、800万円を挙げる回答者が多かった。
②では、志望する業界として、メディア、金融、広告、商社という回答が目立った。全体的に誰もが知っているような一流企業を志望する人が多く、就職に関して関心が高いことがうかがえる。これこそ、慶大生が就活で力を発揮しやすい要因の1つなのかもしれない。
意外な結果もあった。③で将来的に起業・独立を考えていると回答したのは約20%と、大半の人が就職を選択する安定志向にあることだ。起業・独立が選択肢として受け入れられつつある社会の流れとは異なり、慶大生の多くは安定した生活を望んでいるようだ。
⑤の回答では「慶大生特有」と言うよりは、いわゆる「普通の幸せ」を理想とする人が多かったと感じる。特に「家族を持って安定した生活を送りたい」、「子育てに力を入れたい」など家庭を中心に人生プランを設計している人と、「お金持ちになりたい」、「何かをしたい時に、金銭的に迷わないぐらいには稼ぎたい」などお金に幸せを見出している人との二極化が見られた。ほかに印象的だった回答を例示すると、「趣味を楽しむ時間があること」、「良い人間関係を築くこと」、「事業を起こし、社会問題の解決に自らの手で取り組んでいきたい。収入面は二の次で良い」、「かわいい子と結婚したい」など、人によってさまざまな幸せのベクトルが現れており、新たな発見であった。
今回のアンケート調査から、年収や就職においては世間一般と比べると、慶大生はより高いレベルを求める傾向にあると感じた。一方で、世間から慶大生によく向けられる「お金持ち」・「セレブ」などといったイメージに反し、「誰もが思い描く幸せ」を望む人が大多数であったのも事実である。慶大生の本音が垣間見えた調査であった。
(富田純喜)