自分の生き方を決めるのは自分。それでもやはり、自分だけでは……。多くの塾生が不安を抱くであろう就活。大学でサポートが受けられることをご存知だろうか。それぞれ三田、矢上、SFCで就職・進路支援を担当する、学生部スタッフ5名に話を聞いた。

慶大の就活支援は「三つの柱」。就職・進路相談、キャリア・就職セミナー、各種資料・情報提供の三点から、塾生に寄り添った支援を心がけている。

就職・進路相談は、原則的に学部3年、修士1年の秋から利用できる。進路や業界・職種の選択、履歴書やESの書き方と添削、模擬面接まで、個別に相談に乗ってもらえる貴重な場だ。三田キャンパスを担当する八木氏は、「利用可能時期の原則は設けているものの、低学年生を無理に追い返すようなことはせず柔軟に対応する」と語る。

キャリア・就職セミナーは、基本どの学年でも参加できるイベントだ。現在ほとんどがオンライン配信形式。学部など属性別のものもあるが、気にせず興味のあるものは積極的に見てほしいという。「他のキャンパスのセミナーも、個々の学生にとって響くコンテンツになり得る。自分自身の目標に向けてセミナーを使ってほしい」。こう語るのは、矢上キャンパスを担当する市川氏。矢上キャンパスは、卒業生を迎えた理系学生向けのセミナーを独自に行う。一日で様々な企業の人と出会い、効率的な情報収集ができる。基準は学部ではなく、あくまで自分。他キャンパスのセミナーも覗いてみると、情報を精査できる上、多角的な視点も手に入る。

就職ガイドブックをはじめ、就職活動関係の資料・情報も充実が図られている。就職活動体験記から得られる情報量は凄まじい。卒業生の、後輩の役に立ちたいという気持ちの賜物だ。さらに、慶大に特徴的なのは、OB・OG訪問用連絡先だという。卒業生との繋がりの強さは、慶應の特徴であり大きな強み。卒業生にアポイントを取り、仕事の内容や大変なこと、やりがいなど日々の所感を生で聞く。就活は業界・企業分析、自己分析など机上から始まるが、文字ばかり追っていてもイメージは湧きづらい。実際に人と会って聞いてみることも重要だ。「話を聞くこと自体が社会勉強になる。OB・OGとのつながりは慶大の財産。積極的に行なってみてほしい」と、三田の佐々木氏は語る。社風を知っておけば自分に合った企業選びができ、入社後のミスマッチという事態が防げる。「他にもサークルなど身近な繋がりもある。リソースをフル活用して、是非社会を知る手助けに。企業の雰囲気やポリシーを個人の生活に引き付けて理解できるチャンス」とSFCの坂爪氏。情報を得る機会は、身近なところにも沢山ある。

「何すればいいですか?」という相談が時々あるそうだ。しかし、就活に正解を求めてしまっては苦労する。就活は試験勉強とは違って正解がない。知名度の高い企業が良いとも限らない。企業ウケを狙って「キラキラ大学生活」を送っても、その人なりの動機がないと客観的には輝いて見えないという。自分の経験から、自分にマッチする企業を探すことが大切だ。「納得のいく決断のために私たちが支える。皆さんに元々備わった能力や可能性を信じ、大学生活のなかで行動力・思考力を存分に磨いてほしい。色々な人と関わり合い、それでも解消できない悩みは是非私たちに相談してほしい」と八木氏。就活自体が自分の軸を探す機会となるのだ。「ゴールはあくまで内定ではなく、自分が歩みたい人生。こう考えながら就活をしてほしい」と、SFCの上田氏は背中を押す。

企業に合わせて自分を偽る必要はない。自分を社会でどう活かせるか、自分を評価してくれる企業はどこか。自分自身を軸に置いて就活を進めれば、本当に進みたい道が開けてくるだろう。そこでもし行き詰まったら、就職相談窓口に足を運んでみてはどうだろうか。

三尾真子