慶大では6月1日より、「塾生会議2022」が開始した。当会議は慶應義塾のSDGs実現へ向けた取り組みの一環だ。全学部から選抜された塾生が、専門家からアドバイスを受けながら議論し、SDGsを実現するための慶應義塾のヴィジョン・目標・ターゲットを取りまとめて提言することを目標としている。
先月にメンバーを決定のうえ会議がスタートしており、最終的にまとめた意見は来年1月に伊藤塾長に提言する予定だ。春学期は専門家のレクチャーを受けて「SDGsをめぐる世界と日本の現状」を把握し、秋学期は参加者が分野ごとに分かれ議論を行い、提言をまとめる計画となっている。
会議のねらい
学生間で会議を行うねらいについて塾生会議事務局代表の小林宏充法学部教授は、国や企業の実施するSDGsが遠い世界の話ではなく、「身近な大学でどのようなSDGsを実現できるか」を多様な学生に考えてもらうことがねらいだと説明する。「学生のアイディアや意見を慶應義塾のこれからに反映する」意図のうえで学生間の会議となった。
会議に参加する学生について、「目標を設定するだけでなく、アクションまで」つなげる意識を持ってほしいという。塾生会議をきっかけに、社会にでてもSDGsの実現をけん引する人材を育成する意図がある。「身近で卒業までに実現できそうな」提言をし、それがアクションにまでつながる醍醐味を味わってほしいと語る。
ランダムで選ばれた新入生が参加
塾生会議に参加するのは、事前の応募から選抜された約60名の塾生に加え、ランダムに選出された新入生だ。募集には予定人数を大きく超える約150名の応募があった。ランダム選出の新入生参加については、「フランスやイギリスで行われた気候市民会議にヒントを得た」という。気候市民会議では、政策に市民の声を取り入れるため、無作為抽選で選ばれた市民が専門家の話を聞いた後、議論を重ね提言を作り上げた。今会議もそのスタイルを踏襲している。学部や入学方式、地域、男女比などバランスをとったうえで新入生が選出された。
講演はユーチューブで公開を予定
春学期の講演は慶應の公式ユーチューブチャンネルで公開される。「知ってもらうだけでなく、SDGsを学び、実践する塾生のきっかけとしたい」と小林教授。その他夏休みに予定するワンデイ・サマー・キャンプでの再公募や次年度以降の継続を検討しており、興味を持った塾生の参加の機会を増やすことを考えているという。
(乙幡丈翔)