創立150年記念事業の一環として、6月26日から28日の環太平洋大学協会の年次学長会議を慶應義塾は日本で初めてホストした。環太平洋大学協会(Association of Pacific Rim Universities,略称APRU)は北米、南米を含む環太平洋地域に位置する16カ国37大学の協会で、1997年に設置された。今回の第12回年次学長会議では安西祐一郎塾長がAPRUの会長に選出された。また、27日には「大学における伝統と革新」を総合テーマに各界の著名人が招かれた。
APRUは、今回の年次学長会議をはじめ、遠隔教育、脳科学、地震、津波、感染症などのテーマの専門家による分科会なども行っている。環太平洋地域における、教育、研究、企業経営における協力体制の構築を促進し、同地域の経済、科学、文化面での貢献を目的としている。
APRUに参加するためには、「優れた学業実績」、「研究推進活動」、「グローバルな活動視野」、「イノベーションの次元」などの条件を満たすAPRU加盟大学2校の推薦をもとに申請、APRUの審査を受けてその可否が決定する。
慶應義塾は2002年にAPRUに加盟し、昨年博士課程学生会議を三田キャンパスで開催した。2007年からは安西塾長がAPRU副会長を務めており、今回、会長に選出された。APRUを先導することによって日本の大学の国際舞台でのさらなる活躍を狙っている。なお、日本では慶應義塾を含め、東大、京大、大阪大、早大などがAPRUに加盟している。
今回のAPRUフォーラムは「高等教育における伝統と革新」をテーマに、三田キャンパス北館で開催され、会議は全3部にわたり行われた。12カ国、26大学の代表者が参加した。
第1部政界リーダーセッションでは「環太平洋地域に広がるグローバリゼーションと政策決定」、第2部グループディスカッションでは「グローバリゼーションの影響と大学間の国際紛争」、第3部ビジネスリーダーセッションでは「環太平洋地域のイノベーション、テクノロジー、グローバリゼーション」が議題となった。
第1部には、竹中平蔵氏(慶應義塾教授、元総務大臣・郵政民営化担当大臣)、谷内正太郎氏(慶應義塾教授、外務省顧問)、第2部には北城氏(日本アイ・ビー・エム最高顧問)、渡辺捷昭氏(トヨタ自動車株式会社取締役社長)など各界の著名人が招かれ活発な議論が行われた。格セッションの最後には一般聴講者からの質問タイムが設けられ、パネリストと聴講者とが一体となった会議が行われた。