日吉生協を2階に上がると、書籍部のフロアが広がっている。塾生ならば一度は訪れたことがあるだろう。では、その書籍部で「読書マラソン」が行われていることはご存知だろうか。今回は「読書マラソン」の取り組みについて生協書籍部の橋本瑛子さんに話を聞いた。

 

POPカードで学生目線の感想を紹介
POPカードで学生目線の感想を紹介

読書マラソンは、全国の大学生協で行われている読書力アップのための取り組みだ。読んだ本の感想をコメントカードに書き、生協書籍に提出すると1冊につき1つスタンプがもらえる。10冊分スタンプが貯まると、慶應義塾生協では生協書籍部で使える500円分の割引券をもらうことができる。参加には書籍部でのエントリーが必要だ。
読書マラソンの趣旨は、「本を継続的に読んで、大学生活4年間で100冊以上を目指して読書力をつけよう」というもの。読書力をつけるのが目的であるため、読む本は生協で買った本でなくてもいいそうだ。現在日吉では延べ253人の学生が登録し、読書マラソンに取り組んでいる。参加者は毎年およそ30人ずつ増えているという。
提出されたコメントカードは一時的に保管され、その後POPカードとして活用される。「学生同士が同じ目線で感想を伝え合えるのが読書マラソンの持つ力だと思います」と橋本さんは語った。

同じ目線で感想伝える

生協書籍部では、「読書マラソンコメント大賞」も開かれている。これは、全国の大学生協で行われている読書マラソンで提出されたコメントカードの中から優秀なコメントを決めるというイベント。毎年12月ごろに大賞の発表があり、今回が5回目の開催となる。
今回金賞に選ばれたのは同志社大学の堀内ゆうきさんが書いた『風に舞い上がるビニールシート』についてのコメントだ。慶大生のれおさんが書いた『本当は違うんだ日記』のコメントカードも全国奨励賞を獲得した。その他にも全部で6人の慶大生が全国ナイスランナー賞を獲得している。
昨年度からは、慶大の独自賞も始まった。慶大の独自賞は、慶應義塾生協理事長である経済学部の光道隆教授が選ぶ光賞が1人、生協学生委員会が選ぶG・I賞が3人の計4人。独自賞に選ばれると生協から景品が贈られる。審査にあたった学生委員からは、「全く本を読んでいなくても、コメントに共感できるのが面白い」という声が上がった。
実際に読書マラソンに参加している安藤香里さん(文1)にも話を聞いた。安藤さんは入学後、生協のポスターを見て読書マラソンを始めたという。
安藤さんは、読書マラソンを始めてからは本を読む際に読書マラソンの存在を意識して読むようになったと話す。読書マラソンのコメントカードにコメントを書くために、好きだな、と思ったセリフをチェックするようになったそうだ。
コメントカードを書くことは一見大変そうに思えるが、実際はそこまで身構える必要はないようだ。毎回丁寧に書く必要はなく、思ったことを直感的に書くだけでも十分だという。
定期試験も終わり、春休みが始まった。時間がある長期休暇には本の世界に浸る人も多いのではないだろうか。せっかく本を読むのならば、読書マラソンにもぜひ挑戦してみてほしい。

 

(大竹純平)