1月10日は成人の日。お酒の解禁に浮き立つだけでなく、お酒の怖さも知った大人でありたい。成人を迎えた塾生が、楽しく安心してお酒を飲めるようになるために、急性アルコール中毒の危険性を振り返る。
急性アルコール中毒とは
急性アルコール中毒が一体何か知っているだろうか。「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生ずるものである」とされる。慶大でも被害が多数報告されており、最悪の場合死に至るケースもある。
急性アルコール中毒を引き起こすメカニズム
アルコールを摂取すると、胃で20%小腸で80%アルコールの主成分エタノールを速やかに吸収する。大部分は肝臓で処理され、酵素の働きでアセトアルデヒドに分解される。その後、酢酸から最終的に二酸化炭素になり、呼気とともに体外に出されることで、体内のエタノール濃度は低くなる。日本人はアルデヒド脱水素酵素という酵素の活性が弱いと言われており、肝臓でのアルコール代謝が追いつかずに血中アルコール濃度が上昇し、急性アルコール中毒を引き起こす可能性が高いのだ。
急性アルコール中毒にならないために
楽しい飲みの場が緊急事態に…?酔いの状態は、爽快期-ほろ酔い期-酩酊初期-酩酊期-泥酔期-昏睡期と急変していく。慶大は「泥酔」からアルコール中毒であり、昏睡と死は紙一重だと警鐘を鳴らす。血中アルコール濃度は『アルコールの量』と『飲むスピード』で決まる。
一般的に血中アルコール濃度0.02~0.1%まで、純アルコール量20g程度までを心がけると良い。ビール中ビン1本、日本酒1合、焼酎0.6合、ウイスキーはダブル1杯が目安だ。
周囲が急性アルコール中毒になった場合の対処法
周りの人が怒りっぽくなったり、何度も同じことをしゃべるようになったら酩酊状態かもしれない。席を立つ際にふらつく・吐き気の症状が見られたら飲酒をストップさせよう。急性アルコール中毒が疑われる人がいる場合、次の対応が望まれる。
◎絶対に一人にしない。呼吸と脈があるかを確認する。
◎体温の低下を防ぐ。毛布や上着などをかけて保温する。
◎衣服を緩める。胸腹部を圧迫させない必要がある。
◎横向きにさせ、自然に吐かせる。水やお茶、スポーツドリンクなどで水分補給をする。
万が一の応急処置法
それでも相手の体調が回復しなかった場合は冷静な判断をもって適切な行動を起こすことが必要になってくる。呼吸がある場合は、呼吸が妨げられないようにするため「回復体位」をとらせる。体を横向きに寝かせ、下あごを前に出して気道を確保する。
イッキ飲み防止連絡協議会によると、これらの状態が見られたら、すぐに救急車を呼ぶべきだとする。◇大イビキをかいてつねっても、ゆすって呼びかけても反応がない。◇体温が下がり、全身が冷たい。◇倒れて、口からあわをふいている。◇呼吸が異常に早くて浅い。
楽しくお酒を飲める大人になるための4カ条
1.自分の【適量】を意識する。適切なアルコール量は性別や個人差があり、その日の体調・環境も考慮して摂取する。
2.【イッキ飲み】はしない。イッキ飲みをあおる「コール」は大変危険だ。
3.飲酒の【強要】をしない、させない。飲酒にまつわる嫌がらせ・人権侵害(アルハラ)をしない。
4.食事を【楽しみ】ながらお酒を飲む。度数の高いお酒は水や炭酸水で割ったり、食べながら飲酒をすることでアルコールの吸収を緩やかにする。
主催者も参加者も節度ある飲酒を心がけたら、安全で楽しい会が守られるのだ。
〇慶應義塾大学塾生サイト 飲酒に関する注意喚起
https://www.students.keio.ac.jp/com/life/extracurricular/attention.html#drinking-headsup
〇慶應義塾大学保健管理センター 急性アルコール中毒予防
http://www.hcc.keio.ac.jp/ja/health/health/attention/alcohol.html
(高橋明日香)