「いいか、自分の信じる道をいけ!」― 昨年、大きな話題となったドラマ「ドラゴン桜」。見ていた受験生も多いのではないでしょうか。
そんな「ドラゴン桜」での岩井由伸役や「消えた初恋」の仲林大翔役など話題ドラマに次々と出演。現役慶大生で俳優の西垣匠さん(政4)から慶大受験生へ、応援メッセージをお届けします。
――もうすぐ慶大をご卒業ですが、在学中の4年間で一番の思い出はなんですか
全部が濃い4年間でしたが、やはり入学式ですかね。
慶大に入ったおかげで、友達ができて。その友達に後押しされて、ミスター慶應コンテストに出て。そのおかげでスカウトされてこの業界に至りました。すべてがつながっていて、慶大に入ったことがスタートラインだったのかなと思います。今振り返ると、入学式から少しずつ変わり始めていたのかなと。
また、1年生の必修の「法学」の授業で、できたばかりの友達と夜遅くまで問題を出し合って、必死にテスト勉強したのもいい思い出です。
――芸能界に興味を持ったのはいつからですか
もともと興味はずっとあったのですが、表にでる人間ではないと思っていました。小さい頃から映画を観るのが好きで、大学3年生の頃は広告代理店や映画配給会社で働くのもいいなと思っていました。
ちょうど周りが就活をしていたので、焦ってES(エントリーシート)を書いた時もありました。でも、仮に僕が広告代理店で働いたら、広告に起用する俳優を提案したりするんじゃないかと思ったんです。そのときに「もし自分が提案される側にいたら……」という後悔をするくらいだったら、チャレンジしたいと思いました。
――学生生活と芸能活動を両立する中で、大変だったことはありますか
芸能活動を始めたのが、コロナ禍だったので、全部オンライン授業で助かっていましたが……「ドラゴン桜」の撮影期間が大変でした。ちょうど期末レポートの時期とかぶっていたんです。行きのロケバスの中で授業を見て、レポートを書き、帰りのロケバスで提出するといった時期を過ごしましたね。特に東大専科に入ることになった、第8話以降の撮影は忙しかったなと思い出します。
――慶大の良いところはどこだと思いますか
能動的に動ける人が多いこと、またチャレンジ精神が旺盛な人が多いことですかね。起業したり、勉強やインターンを頑張ったり、何か目的をもって頑張っている人が多いことは大変刺激になります。
僕は来年社会人になっても、ずっと俳優を続けていく一方で、友達の多くは就職していきます。違うフィールドであるとはいえ、お互いに切磋琢磨できる人が多いのは慶大の魅力だと思います。
俳優としての活躍・「ドラゴン桜」でのエピソードにせまる
――デビューしてからの1年間を振り返っていかがですか(※2020年12月23日デビュー)
あっという間で濃密な1年間でした。1年目とは思えないほどたくさんの学びがあり、感謝しています。たくさん悔しい思いもしましたし、現場ごとに勉強することばかりで「まだまだだな」と思いますが、振り返って充実した楽しい1年でしたね。
――この1年間で特に印象に残っている役はありますか
皆さんに知っていただけたのは「ドラゴン桜」のヤンキー役(岩井)だと思うので、印象に残っています。また、同年代の第一線で活躍している俳優の皆さんと共演できたことも大きな刺激になりました。
今でもみんなと連絡を取っていて、それぞれの活躍を見ると、「頑張らなきゃ」とスイッチが入ります。たまにお芝居についての熱い話をみんなでしたりもしますね(笑)。そうした仲間を持てたという意味でも「ドラゴン桜」は大切な作品です。
――「ドラゴン桜」での印象的なシーンやセリフはありますか
第3話の桜木先生のセリフ「勉強ってのはな、この国で唯一許された平等なんだ」ですね。台本を見た時も衝撃的でしたが、本番中も近くで聞いて鳥肌が立ちました。
僕もその通りだと思っています。どんなに努力しても報われないことって世の中にたくさんあるし、僕もこれからたくさん経験すると思います。でも、どんな人にとっても勉強に努力は必要だし、努力をすればしただけ報われると思っています。才能関係なしに皆のスタートラインが一緒なのは勉強だけなので、あのセリフはとても好きですね。
個人的には、最終話の壁ドンするシーン(東大の合格発表にて、岩井らが健太を他校の生徒から守るシーン)が好きですね(笑)。健太(細田佳央太)がとても好きなのですが、健太にスポットを当てた第5話では号泣して、翌日も会うのに佳央太にすぐ連絡しました(笑)。
――「ドラゴン桜」の岩井役は普段の西垣さんとはかけ離れた役どころだったかと思いますが、役作りをする際にはどのようなことをしましたか
まずはヤンキーのしぐさや表情を研究しました。そのうえで、「どうして彼はヤンキーになったのか」を考えることによって、身体の内面から表現できるようにしました。
細かい背景や生い立ちを考えれば考えるほど、役の深みや厚みにつながると思います。そういった役作りを大切にしようと思ってはいますが、台本には書いていないので、やはり難しいところです。
――オンとオフの切り替えはどうされていますか
あまりオンとオフがないタイプで、休みの日でもお芝居のことはよく考えます。有難いことに1年間を通じて作品に出させていただいたのですが、僕はまだあまり経験がないので、経験のある共演者に追いつくためにはオフのときにいかに勉強できるかが大切だと思っています。
「ドラゴン桜」の岩井役は眉間によくしわを寄せていたので、オフのときもそうなってしまって、マネージャーさんからよく「顔怖いよ」と言われていましたね(笑)。
――俳優としての今後の目標はありますか
5年以内に日本アカデミー賞新人俳優賞を取りたいと思っています。有難いことに、今はドラマのお仕事を多くいただいていますが、今後は映画でも活躍できる俳優になれるように頑張りたいと思います。
――出演したい映画のジャンルはありますか
僕は沖田修一監督のほのぼのとした日常を描いている作品が好きです。
また、岡田将生さん主演の「ホノカアボーイ」(2009)という作品があって、ただ日常を描いているだけなのですが、とても面白くて。はっきりとした起承転結や派手な演出がなくても面白いのは、俳優の演技力の賜物だと思うので、そうした演技力を身につけたいです。
――「ここ一番」というときに必ずしていることやルーティンはありますか
僕は普段と違うことをすると変に力が入ってしまうので、重要なシーンなど「ここ一番」の前でもいつも通り過ごします。強いて言うなら、普段よりも少し多めに寝ることくらいですかね。
また、今日頑張ったなというときには、家系ラーメンをよく食べに行きます。ラーメンが好きなので、日吉の武蔵屋には大学1、2年の頃よく行っていました。この仕事を始めてからは食べ過ぎないように気をつけています(笑)。
――今年、慶大を受験する学生に向けてメッセージをお願いいたします
皆さんがこれまでしてきた努力は並大抵のものではないと思います。不安やプレッシャーに押しつぶされそうになるかもしれませんが、そういう時こそ前を向いて、自分を信じて最後までやれば、おのずと結果はついてくると思います。
受験期間中は急に寒くなったりするので、風邪や体調管理には気をつけて、自分の実力を出し切ってほしいなと思います。応援しています!
【プロフィール】
西垣匠(にしがき・しょう)さん 東宝芸能所属
慶應義塾大学法学部政治学科4年生
2019年度ミスター慶應コンテストでグランプリを獲得。
昨年は「ドラゴン桜」(TBS)や「消えた初恋」(テレビ朝日)など数々のドラマに出演。
今年は「鹿楓堂よついろ日和」(テレビ朝日 土曜 23時30分〜)、「僕の夢はアナウンサー」(NHK FM 2月5日 22時〜)、「お願い!ランキング 忌憚ナク蔵」週替わりレギュラー(テレビ朝日)などに出演予定。
西垣さんのTwitterはこちら
Instagramはこちら
(加藤萌恵)