研究医養成に積極姿勢
医学部医学科は昨年度入試での10人の入学定員増に続き、今年度は研究医枠として2人の増員を決定した。
研究医枠とは、文科省ホームページによると、「優れた教育研究資源を活かし(中略)優れた研究医の養成・確保に一貫して取り組む定員増」とあり、3人を上限として増員が認められる。ほかに研究医枠で2人の増員が認可された大学に東大や京大などがあるが、私大で2人の増員があったのは慶大のみ。
また慶大が育成を目指す研究医の像について、医学部長補佐の坂元亨宇(みちいえ)教授は「研究的な視野を持って臨床も行えるような医師、あるいは医学部の基礎研究を指導していける人材」と説明する。
現在は3、4年次での研究医コースの選択方法を検討している。なお研究医コースは通常に加えて学習の幅が広がるため、奨学金の設置なども検討されている。
今回の増員の背景には、地方の医師不足及び研究医不足に伴う、行政側の要請がある。行政側は「地域枠」、「研究医枠」を設定し、全国の各大学の医学部に定員増を求めている。今年度慶大医学部が申請し、認可されたのは「研究医枠」での増員。昨年度の「医師確保対策」での増員とは異なる。
今回の増員にあたって、教育水準を維持するための設備の再整備も計画中だ。昨年度の計10人の増員により医学部では顕微鏡や解剖台などの基本的な設備を増強した。今年度の定員増に対しての補助金次第では、リアリティのある教育を可能とする教育設備の充実を検討している。
今後の増員計画について坂元教授は「先のことなので何とも言えないが、なし崩し的に増やし続けることは考えていない」という。設備や教員の関係もあり、教育の質を下げない範囲で検討していくとしている。