YouTuberとして活動する中で

――YouTubeのコンテンツ作りをする中で心がけられていることはありますか

動画を通して、LGBTQの人が身近にいるんだということやジェンダーに悩んでいる人に「一人じゃない」と伝えたいです。

僕自身が「僕はLGBTQ当事者です!」と全面に押し出すことが得意でないのもありますが、当事者は案外隣にいるのだという身近さを感じてもらえたら嬉しいですね。特に僕は両親の耳が聞こえず、自分自身もトランスジェンダーというダブルマイノリティなのですが、「かわいそうな人」ではなく、普通に生活していて、ご飯も食べるし、アニメ好きでヲタ活してるよ!(笑)と知ってほしいです。

 

――ご自分の中で大切にされている考え方や軸があれば、教えてください

「相手を否定しないこと」。また、「自分がされて嫌だったことは人にしないこと」ですかね。

あとは、「自分の時間を大切にすること」でしょうか。ですが、やはり休みの日でも前の日の動画の視聴回数やチャンネル登録者数は気になって、スマホは見てしまいます(笑)。

 

――ご自身の考え方に影響を与えたものはありますか

『もののけ姫』や『エヴァンゲリオン』、『ラブライブ』などのアニメが好きでよく見ているのですが、ストーリー性や言葉に影響を受けています。映画の2時間の間に現実逃避をしたり、現実世界の問題に痛いほど刺さる台詞もあって。いろいろな作品を見ることで刺激をもらっていますね。

最近見た作品では『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が全人類に見ていただきたいくらい泣けるのでおすすめです(笑)。

 

――先日、30歳になられたと思いますが、30代の夢はありますか

30代のうちに映画作品を作りたいですね。映画館で公開されて、皆さんに見ていただけるようなものを作りたいです。

 

慶大生へメッセージ

20代のうちには、少しでもやりたいと思ったことはすべてチャレンジしてほしいと思います。こういうことってたくさん言われるけれど、失敗が怖くてなかなか踏み出せない人も多いのではないでしょうか。僕もそうでした。でも、20代の頃は取り返しがつきます。片足つっこむだけでも、すぐやめてもなんでもいいですから、やってみてください。20代の間の経験は財産になります

「移動距離と思考は比例する」とよく言いますが、本当にそうだと思います。今のご時世なかなか難しいですが、学校以外で遠出することはおすすめです。

皆さんの学生生活が楽しいものになればいいなと心から願っています。

 

一人一人が生きやすい社会へ。発信への一歩が社会を変える一歩なのだ。

(写真=提供)

【プロフィール】

木本奏太(きもと・かなた)さん

大阪芸術大学芸術学部映像学科を卒業。現在はYouTubeチャンネル「かなたいむ。」を運営。

LGBTQに関する動画のほか、映像のきれいさには定評があり、チャンネル登録者数は23万人を超える。

 

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(加藤萌恵)