猪口邦子氏が基調講演
日米学生会議主催の報告会が12月19日、三田キャンパス西校舎で開催された。日米学生会議は1934年に発足した国際交流団体。本イベントでは、昨年夏に行われた第61回日米学生会議の参加学生らによる報告のほか、元衆議院議員の猪口邦子氏による基調講演や第62回会議の説明会なども行われ、学生を始めとする多くの人々が足を運んだ。 (花田亮輔・御園生成一)
〈基調講演〉 報告に先立って、前衆議院議員の猪口邦子氏が基調講演「核のない世界へ~今問われる日米の役割とは~」を行った。 講演で猪口氏は大量破壊兵器に関する基礎知識から説明を開始。大量破壊兵器に分類される生物兵器・化学兵器・核兵器のうち、前二者に対しては禁止条約があると解説したうえで、核軍縮の現状と課題について語った。
現在、核兵器の保有は核拡散防止条約(NPT)内で規定される。長年軍縮に取り組んできた猪口氏は、核保有国に対し核軍縮に関して「誠実に交渉を行う」ことを義務づけたNPT第6条にまつわる問題などを指摘。被爆国として日本が世界に向けて被害の大きさなど人道的な訴えを発信していく責務を強調した。
また、日米学生会議やダボス会議などを例に国際会議の重要性にも言及。国際会議の場で思想の最前線を反映させ、その多様性を強調することの意義を語った。国際交渉術を向上させる秘訣などにも話は及び、来場者に対して実際的な助言をする一幕もあった。
猪口氏は日米学生会議のOG。上智大教授、軍縮会議日本政府代表部特命全権大使、内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)などを歴任した。
〈会議報告〉 第61回会議報告では、会議に参加した日本側の学生らがイベントの経過を発表。米軍基地訪問といった各種フィールドワークやアメリカ側参加者との議論の様子などを写真とともに紹介し、交流の日々を振り返った。
第61回日米学生会議は、東京・函館・長野・京都の各地域を訪問するかたちで昨年開催。日本側の実行委員長は松本秀也さん(商4)が務めた。
報告後は、実行委員や参加経験者らによるパネルディスカッションと第62回日米学生会議の説明会が行われた。
第62回日米学生会議は、直前合宿を含め今年の7月24日から8月21日にかけて開催される。詳細は今後、日米学生会議ウェブサイトにおいて公開される予定。