11月14日、三田キャンパスで慶應義塾戦没者追悼会が開かれた。今回の追悼会は慶應義塾が創立150年を迎えたのを機に、慶應義塾戦没者追悼会実行委員会を中心とした塾員有志が発起、企画したもの。追悼会に先立って戦没者慰霊碑への献花式も行われた。追悼式には約200名の塾員、関係者が出席し、戦没学生の死を悼んだ。
今年は学徒出陣66周年に当たるが、開催に至った理由として、義塾が創立150年の節目を迎えたことが挙げられる。義塾が未来の先導者であるためにも、過去の歴史を見つめ、先輩方に追悼の意を捧げることの必要性を感じたという。それに加え、平成19年に慶應義塾の戦没者名簿が完成。学生を含めた戦没者2223名が記された。以前にも追悼式は行われていたが、名簿は不完全な状態であった。これらの出来事を受けて、今回の追悼会開催に踏み切ったという。
追悼会に先立ち献花式も行われた。塾員代表が、三田キャンパス旧図書館前の平和来の青年像と還らざる学友の碑に花を捧げた。前者は昭和32年、塾員有志が戦没塾員を慰霊するために建立したものであり、後者は平成10年に義塾が戦没塾生を慰霊するために建立した。その後参列者全員で塾歌を斉唱し、戦没者に追悼の意を示した。献花式の後には追悼会が同キャンパス内で行われた。
戦没学生の慰霊碑は全国各地にたくさんあるが、大学のキャンパス内に慰霊碑が建てられているのは珍しい。鳥居泰彦元塾長は「この碑を大切に後世に語り継いでいきたい」と語った。そして、「そのうえで私たちは戦没者の学問、学校、国に対する思いをどこまでも引き継がなければならない」と話した。
また、追悼会には早稲田大学学徒出陣の会有志も参列。早慶は昔からライバルであるとともに、良き友であることを強調し、これからも両校は亡き学友の為に、後世に引き継ぐ努力を続けたいと話した。
慶應義塾戦没者追悼会実行委員会の玉川博己氏は、「皆さんと同じような年齢で、やむなく戦争に行って亡くなった人が非常に多くいる。何よりもその事実を知って頂きたい」と話し、「誰も戦争に好んで行くわけではないが、当時の学生は行かざるを得なかった。その時代背景や歴史をよく勉強し、理解してほしい」と訴えた。また、続けて「まだ青春の真只中で戦争に行き戦没した学生の心情も考えてもらいたい。そのためには遺稿集や文学作品をたくさん読んでください」と塾生に向けて話した。
(荒川桃子)