夏に入り、夏インターンや企業分析など、就活に本格的に取り組み始める23卒の慶大生も多いだろう。

そんな慶大生に有用な就活情報を届けるべく、ダイヤモンド・ヒューマンリソース様の協力のもと、3回にわたり企業座談会企画が実現した。

第2弾座談会は、大手町タワーや東京スクエアガーデン、中野セントラルパークで有名な東京建物。

都市の未来に貢献する街づくりを目指し、国際都市・東京を中心とした開発事業を手がけている。人事部である越後屋陽平さんにお話を聞いた。

座談会には、慶大生のAさん(法学部政治学科3年)、Bさん(商学部3年)、Cさん(経済学部3年)、Dさん(文学部3年)の4名が座談会に参加した。

◯現在緊急事態宣言中ですが、昨年からの新型コロナの影響を受けて、東京建物さんの社員の働き方や事業に関して、どのような変化がありましたか。

そうですね。まず、社員たちの働き方への影響についてお話しすると、現在東京都では緊急事態宣言中ということもあり、上限3割を目処に出社に制限して、リモートで仕事を進めています。大学生と同じように、今までのオフィスに通勤して働くという常識が変わったな、と実感していますね。

ですが、例えばディスカッションなど、何かを新しく生み出すような会議はなかなかWEB上で進めるのは難しいなと思っています。

ただリモートワークで以前よりも時間を効率的に使えるようになった部分も多くあり、働き方は便利になりましたね。

次に、事業的な観点で話すと、東京建物は総合不動産会社(デベロッパー)であるので、色々なアセットタイプを抱えています。

その中でも特に打撃を受けているのは、やはりホテル・飲食系の商業施設ですね。

不動産会社である東京建物は、直接、ホテル業や飲食業を運営しているわけではなく、「オーナーとして」施設を運営し、テナントさんから家賃をいただいているので、直接影響を受けているというよりは二次的に影響を受けている形になります。

コロナ禍の影響を直接受けているテナントさんからは「賃料の支払いを先送りさせて欲しい」という要望もあるので、そうした要望には臨機応変に対応しています。

また、オフィスの方面でも変化があります。社会全体で仕事がリモート化したことを受けて、オフィスを縮小させるような動きもあります。

ですが、比較的大きい企業の場合はすぐに縮小や移転という動きにはなりづらいという印象です。

そのため、コロナ禍以前と比較して、東京建物のオフィスの業績が落ちているかと言われれば、意外とそうでもありません。むしろ、テレワークが進んだことで、リモート会議用のスペースが欲しいなど、新たなニーズが生まれています。

縮小一辺倒の動きではないということですね。

では住宅の動きはどうかと言うと、非常に好調です。新型コロナの影響を受けて、住宅が売れなくなっていることはほとんどないと思います。金融緩和政策が効いており、今後も引き続き好調に推移していきそうです。

東京建物景観

◯今の時点では、新型コロナがいつ頃に収束するかわからない状況ですが、そうした不透明な情勢から今後ホテルや商業施設の不動産を縮小させていく動きはないのでしょうか。

新型コロナの大打撃を受けたから、現在進めている事業を中止する、ホテル事業などを縮小させる、という大きな動きにまでは至っていません。

新型コロナはいつか必ず収束すると予測していますし、長期的な視野で見た時に、特に観光業は廃れるとは思っていないからです。

人間が存在する限り、リアルな空間は必ず需要がある。

コロナが収束した後は、ホテル事業の業績はまた右肩上がりになっていくのではないでしょうか。

ただ、収束の見込みが立たない現時点での新たな投資というのは判断が難しいというのが正直なところです。

新たな投資ということに関しては、コロナ禍以前と同じペースで進めるのはしばらく難しいかもしれません。

◯今は都心を中心にオフィスが集まっていますが、今後リニアが通じより交通が便利になっていく中で、20年、30年といった長期的な視野で、地方の開発は考えているのでしょうか。

確かに、現状では東京都内での再開発がメインで進んでいますが、コロナを契機とした働き方の変化や、リニアや自動運転などの交通面での改革がなされ、これから地方の需要が拡大していけば、東京建物が開発に取り組む可能性は十分あると思いますね。

また、東京建物が地方開発を進めていないかと言われればそうでもありません。東京建物は前橋や高崎などの地方都市の一級エリア(駅前など)でのタワーマンションを開発し、高評価を得ています。地方都市であっても東京並みに需要があるエリアがあるということがわかってきたのです

このように地方の開発に関しては、需要があるかどうかをしっかりと見極め、事業エリアを展開してければと考えています。

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