浴衣を着る季節が近づいてきた。慶應で浴衣、といえば七夕祭。19回目を迎える今年も浴衣姿の女性であふれるに違いない。華やかな七夕祭だが、その裏で奮闘する人々をご存知だろうか。今回、陰で努力している団体、七夕祭実行委員会と慶應義塾花火師会に取材した。

(舟橋美奈子・勝間田美波)

 七夕祭はSFC生のみならず、SFC周辺の住民も主体となって行われる特殊な学園祭だ。今年の七夕祭のコンセプトは「届け、ココロ。」。七夕祭が様々な「ココロ。」を伝える場であってほしい、という思いが込められている。

 大切な人に思いを伝えるために、ラブレター企画や毎年恒例の花火など、七夕祭実行委員会は様々な企画を用意している。
七夕祭実行委員会は1年生と2年生だけで構成されているため、長期的な活動ができない。短い期間で、七夕祭が充実した物となるよう、最大限の努力をしている。

 七夕祭を「また来年も来たい」と思ってくれるような1日にするため、毎年工夫を凝らす。今年は特に模擬店(縁日)に力を入れているようだ。

 その願いが通じたのか、4、5年前まで参加者が5000人であったのに対して、去年の参加者は1万人を超した。七夕祭のSFC以外での知名度が上がったということが伺える。

 今年度、七夕祭実行委員会の代表を務める日笠良亮さん(総2)に意気込みを伺ったところ、「SFCの人も他キャンパスの人も、七夕祭独特の雰囲気を楽しんでもらいたい。そして、来場者が『来年も来たい』と思えるような祭にしたい」と述べた。副代表の上地里佳さん(環2)は、「『届け、ココロ。』のテーマ通り、普段言えない気持ちを伝えられるような、魅力的な七夕祭にしたい」とコメントした。

 進化し続ける七夕祭。今年も浴衣を着て、七夕祭を訪れ、七夕実行委員会の「ココロ。」も見届けてほしい。
 
 
祭りの夜空 彩る花火 打ち揚げの立役者

 皆さんは、「慶應義塾花火師会」(去年までは「慶應義塾花火会」)という団体をご存知だろうか。七夕祭で好評の花火、彼らはその打ち揚げに携わっている。

 華やかな印象を受ける慶應義塾花火師会にも様々な苦労がある。花火打ち揚げの免許を持つ、代表の庄司翼さん(環3)は今まで手で点火をしていた。しかし今年から花火を打ち揚げる法律が厳しくなり、手点けではなくて、電気点火をすることとなった。

 音楽に合わせて花火を打ち揚げることや、打ち揚げるためのグラウンドの使用許可を得ることにも苦労しているようだ。七夕祭での打ち揚げはコンピュータプログラムを利用し、音楽に合わせて花火を点火している。音楽が短すぎも長すぎもしないように、コンピューターでタイミングを計らねばならない。

 また、利用するグラウンドは慶應義塾湘南藤沢中・高等部のものである。期末試験終わりの学生が部活に利用したいグラウンドを、打ち揚げに使わせてもらう許可は下りにくい。

 苦労しているだけあり、花火の演出は素晴らしい。一昨年の花火フィナーレも神輿が舞台に立った瞬間に花火が打ち揚げられ始め、観客から感嘆の声が上がった。また去年の七夕祭では、コンセプトである「出会い」の花火が大好評。今年の花火を楽しみにしている人が大勢いる。

 慶應義塾花火師会の活躍は七夕祭だけではない。慶應出身OBが音楽を奏でて、花火を打ち揚げるヒヨシエイジのイベントや、矢上祭の花火大会にも携わっている。

 安全を配慮しながら、素晴らしい花火大会を披露することは難しい。だが、「打ち揚げる花火を楽しんでもらえれば」という素朴な気持ちが彼らの努力の背景にある。ぜひ今年の七夕祭に足を運んで、花火を楽しんでほしい。