A:若手は皆、駅での業務を経験するというお話でしたが、それはやはり現場を大切にしてほしいというJR東海のメッセージなのですか。
鈴木:現場はもちろん、お客様がどういう方々なのか、というのを肌で体感してもらう事が目的ですね。それが、自分が何のために今仕事をしているのかという本質的な理解に繋がってくる。私たちの考えたものがお客様の手元に届くのは常に現場なので、実際にそれを運用する現場にとって実効性を持つようにしないと意味がありません。そこで、どのようなサービスを私たちは提供できているのか、本当に必要とされているのか、自分の目で見ることが大事なんです。
A:本社の業務と同時並行で、現場で駅係員などの業務に携わる人の意見を聞いて、そこから企画ができるということもあるのですか。
鈴木:ありますね。例えば何か先進的なことをしたいなとオフィスで考えたとして、それを実際に実行できるかを、現場の社員を集めて実証実験をするなどして、双方の意見を踏まえつつ作り上げていくということをします。
A:実際に入社してみてのギャップや、意外だったことはありましたか?
稲永:これはインタビューだからというわけではなくて、悪いギャップというのはなかったですね。
鈴木:それは、内定もらうまでの段階でもう解消されているということかな。堅いイメージだったものが、より明るいイメージに変わったって言っていたよね。
稲永:確かにそうですね。就活の段階で色々な社員さんに会いお話を聞く中で、理解を深めていたからかも。むしろ、良いギャップとしては、若い人にも裁量を与えてくれることですね。それこそYouTubeの企画とか、配属されてすぐにセミナー企画を任せてもらったりして、こんなに若いうちから色々と任せてもらえるというのは嬉しいですね。良いギャップでした。
櫻井:人によってはそれが悪いギャップになる人もいるかもしれませんね。稲永さんがやっている職務は、まさに第一線での仕事です。周りと高め合って悩んで、という働き方を求める人には良いけれど、人によってはミスマッチと感じることもあるかもしれません。ただそういうミスマッチは、採用担当と話すことで解消できると思いますよ。
稲永:あとは、馴れ合いという意味ではなくて、社員同士の仲がとても良いです。先輩もフランクに話しかけてくれるし、変な遠慮をせずにコミュニケーションがとれるというのは恵まれた環境だと感じます。インターンなどに参加してくれた学生さんに、雰囲気が良いと言われる事が多いのですが、本当にその通りだと思う。
鈴木:あと「堅さ」に関するギャップはあるかも。鉄道の安全・安心輸送というと規律が厳しそうだなと想像するかもしれないけれど、実際の働き方は、みんなで自由に意見を出し合いながら共同で作っていく、という感じです。あとは、当社を含め大規模な鉄道会社には社員が大勢いるので、実際自分に任される仕事がどのくらいなのかと考えてみた時に、自分一人に任される仕事は多いというのは意外でした。オフィス部門は少数精鋭なんです。例えば、社内の制度を作るとなった時に、それを担当するのは4人程度しかいないんですね。若手の時から一人前として、自分が構想をして形に落として、という仕事を任せてもらえるので、それがすごく一人一人の成長に繋がっているな、良いギャップだなと感じています。もちろん、一人に任せきりという意味ではないですよ。上司としっかりとコミュニケーションを取れる雰囲気なので、一人で悩むこともなく何でも話して相談できる。裁量もあるし、サポートもきちんとある。それがすごくいいなと思います。
B:稲永さんは社員さんと話していく中で志望度を高めていったとおっしゃっていましたが、特に印象に残った、決め手に近い言葉はありますか。
稲永:自分は他社では総合職を志望し、JR東海ではアソシエイト職を志望していたので、そうした志望の仕方をしている人は他にいるのだろうかと若干不安を感じていましたが、実際に、他社の鉄道会社の総合職を辞退して、当社のアソシエイト職を選んで後悔が無いとおっしゃる先輩がいることを知って安心できたのが一つ。あとは、総合職の人からアソシエイト職がどう映っているのか、本当に必要とされているかなど、踏み込んだことを聞いた時に、「少数精鋭で、ジョブローテーションの頻度が総合職よりも低い環境で、実務を知る立場として、核になるような存在です」というお話しも聞く事ができて、アソシエイト職に進もうと決心がついたかな。自分の適正に合っているのかが不安だったところだったので、その言葉は決め手になりました。
B:一般的な大企業では、新入社員が入っても裁量を持てないという事があると思うのですけれど、J R東海さんで若手も裁量を持てる理由、仕組みの要因はなんですか。
櫻井:総合職事務系となると、入社してくる社員の3%程度しかいないんです。つまり裁量は、自然と持たざるを得なくなってくるという感じですかね。ベンチャー企業などの方が裁量を多く任せてもらえると思われることが多いですが、おそらく仕事の見え方が違うだけで、若い頃から成長する機会がたくさんある。
鈴木:影響が大きいから多少緊張するよね。自分が考えたものが全社員に影響してという状況が、ふと思うと、怖って思うこともあります。(一同笑)でも、それもいい緊張ですね。
A:お話を聞いていると、チャレンジ精神みたいなものが社員の皆さんにあるなと感じたのですが、どういう学生に来て欲しいですか。
鈴木:チャレンジ精神というと少し構えてしまうかもしれませんが、平たくいうと「前向きさ」があれば良いなと思っています。現状を良くする方法を自分で考えられて、それを周りに発信していける、そういう前向きな姿勢で仕事に取り組める人。それに加えて、傾聴力や謙虚な姿勢を持った人と一緒に働きたいですね。独善的にならずに、周りの人の意見を客観的に聞いて、より良いものを作っていく事ができる人は、一緒に働く上ですごく良いなと。
A:傾聴力や謙虚の姿勢を大切にされているのは、JR東海さんを根本的に支えているお客様がいるからこそ、人々や社会への影響力が大きいからこそ、独善的にはならないようにという意味でしょうか。
鈴木:そうですね。自分たちが携わる事業が公共性の高いものでもあるので、必要とされるもの・これから必要になっていくものを生み出していくためには、周囲から情報を取る事ができる傾聴の姿勢が必要です。自分一人ではできない規模の事業なので、周りの声に耳を傾ける力、そしてそれを前向きな力として発信していける力の両方があると良いのかなと思います。
A:では、最後にJR東海を目指す慶應生に向けて、OGのお二人からメッセージをいただけたらと思います。
稲永:こんなに楽しく働ける会社は、他と比べてもJR東海しかない、と率直に思います。ですので、当社のインターンやたくさん開催しているオンラインセミナーなどのイベントに、気軽な気持ちで構いませんので、まず一度来てほしいと思います。
鈴木:いいギャップの話で出てきたように、当社は若手の時から自分で考えて企画して構想して、それを実際に運用していくところまでを、全部やり切る力がきちんとつく会社です。国家的プロジェクトも含めて、「大きな夢を自分たちでやり切りたい!」という気概を持っている学生さんがいれば、ぜひ当社を見にきていただきたいと思います。
A:長い間ありがとうございました。
(聞き手 白石瑞歩)