新学期が始まってしばらく経ち、もうすぐで夏休みだという学生も多いだろう。たくさんの時間が確保できる一方で、有意義な時間の使い方がわからないと、あっという間に夏休みは過ぎてしまう。そうならないためにはどうしたらいいのだろうか。タイムマネジメントの観点から、マネジメントコンサルタントの坂本健氏に話を聞いた。
タイムマネジメントとは
タイムマネジメントとは、時間を自ら意図的に活用、調整することである。そもそも、人はみな、使える時間が限られている。その中でいかに時間を無駄にせずに効率的に成果を上げるかが論点であると坂本さんは指摘する。
では、なぜ時間をうまく使うことが難しいのだろうか。それは、多くの人が陥る「ワナ」が存在するからである。それはずばり、根拠のない計画を立ててしまうということだ。計画を立てることは、一見タイムマネジメントの手法として良いように思われるが、計画通りにいかなくなった際に行き詰まってしまうなど、危険性が高いのだという。
自分の時間の使い方を可視化し、無駄な時間を見つける
この計画倒れを防ぐために有用な方法は、自分がどのようなタスクにどのくらい時間がかかるのか、可視化することである。たとえば、1500字のレポートを執筆する際に、調べる時間、構成する時間、実際に文字にする時間などそれぞれにかかる時間を把握することによって、すきま時間を活用できるようになり効率がぐんと上がる。つまり、計画を立てる前に必要なことは、自分を知るということなのだ。そしてこのことは、使える時間を増やすことにもつながるのだと坂本さんは語る。
「何にどのくらい時間を使い、無駄な時間をどのくらい過ごしてしまったのか、自分の時間を日記などに記録してみましょう。そうすることで、使える時間を増やし、より良い時間の使い方を分析できるようになります」
忙しいときには引き算、余裕のあるときには未来を見る
では、課題やバイト、サークルや部活動など、さまざまなものに追われているときにはどうしたらいいのか。坂本さんは、必要なタスクとそうでないタスクを見極め、引き算することが大切だと言う。その判断基準は、やらなかった場合の損失だ。やらなかった場合の損失がより大きいタスクを残し、小さいタスクを引き算するのである。
例えば、自分の興味のために取った選択科目の課題をあきらめて、代わりに必修科目の課題をやった場合で考えてみる。たしかに選択科目は評価が下がってしまうかもしれないが、そのおかげで必修の単位を死守できるとするならば、それは引き算して正解だといえる。このような0か100かの議論でなくとも、うまく引き算して負担を少なくする技術は忙しい時期には有用である。
逆に、余裕のあるときにはどのようにタスクをこなしていくべきなのだろうか。それは、やった場合に得られる利益が大きいものを重要視し、さらに未来で有益となるものに投資する時間を作るべきだと坂本さんは語る。
「たとえば、ゲームをして得られる現在の快楽と、将来のために行う資格勉強ではどちらの方が得られるものがあるのかといった判断方法です。これは少し極端ですが、余裕のあるときにどれほど未来のために時間を使えたかによって、将来は大きく変わるでしょう」
目的にとらわれすぎず、いろいろなことに挑戦してみる
これまで理論的に時間の使い方について示してきたが、それだけではなく、さまざまな分野に手を出してみることも重要だ。いろいろなことに浅く広く挑戦し、それぞれの領域にどのようなことが存在するのか知った経験は、今後の人生に役立つと坂本さんは語る。
息抜きや気分転換で触れたものが、自分にとって大きな出会いとなることも多い。読者の皆さんも時間をうまく活用し、大学生という短い時間の中で人生を豊かにできるよう尽力してみてはいかがだろうか。
(松本彩花)