草彅剛の次は、慶大生だ。最近、にわかにヌーディズムが流行しているらしい。慶大生が日吉駅周辺で全裸で集団疾走した事件は記憶に新しい

▼なぜ彼らは夏の思い出作りに、裸で疾走することを選んだのか。ヌーディズム後進国の日本では、変質者扱いされてしまうのが落ちだ

▼学生に対する世間の目は甘い。ある程度の失敗なら許してもらえるのが学生だと言われる。だがもちろん触法は「ある程度」に含まれない

▼「夏の」思い出づくりにしては季節外れのご乱行。秋の陰鬱な気分を晴らすための衝動的な失態かと思いきや、ビデオ撮影し上映する予定だったというから許しがたい

▼周囲に迷惑をかけることなく耳目を驚かせる方法は、ほかにいくらでもあったはずだ。森見登美彦の小説「夜は短し歩けよ乙女」には、「ゲリラ演劇」や「韋駄天コタツ」など、学園祭での騒ぎが描写される。前者はキャンパス内でゲリラ的に寸劇を披露するもの。後者は、妙な連中がコタツに入って、あらゆるところに出没するというもの。なんとも好ましい悪戯だ

▼思い出作りは、周囲にとっても微笑ましい騒ぎ方で。そうすれば世間は少々度が過ぎても大目に見てくれるはずだろう。

(宮島昇平)