塾生への周知の徹底がカギ

SFCで新しい実験が進んでいる。未来創造塾の計画の一環で進む滞在型教育プログラム。実現すれば新入生向け短期滞在プログラム、定期間集中型の授業やゼミ、ワークショップ、一貫教育校向けプログラムが行われることになる。その滞在型教育プログラムの柱となるハウス制度はSFCで2009年4月から試験的に開始されている。ハウス制度は、新入生がキャンパスで活動を共にする単位として、約120名を1ハウスとして教員10名と上級生がハウスアドバイザーとなり、新入生が塾生としてのアイデンティティーや一体感を培う制度。2012年の実現を目指し、現在は施設創設のためSFCの近くに4・9ヘクタールの土地を押さえたり、SFCの「福澤諭吉と現代Ⅱ」の授業で、スルガ銀行の寄付で建てられたゲストハウスを利用した宿泊型授業を行うなど実験を進めている。本企画では、アンケート調査でSFCの塾生の反応を聞いた。
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ハウス制度の寮計画について、存在自体はかなりのSFC生が認知しているが、知らないSFC生は4分の1以上。完成すれば新入生は自動的に入ることになるが、「入寮したいか」という質問では入寮希望する塾生は約4割だった。また、内容を知っていると答えた人の入寮希望率は60%と比較的高い数値が出た。
「『レジデンシャルキャンパス』を知っていますか」という質問では認知率はかなり低く、知っていると答えた人は36名、知らないと答えた人は170名に上った。
今回の調査の結果、内容を知っていると賛成する率が上がることがわかった。慶應義塾は「レジデンシャルキャンパス」、ハウス構想の周知を徹底することで塾生の理解をすすめていくことが求められる。
ハーバード大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学など諸外国の大学では寮生活を通じての教育が盛んだ。滞在型の教育の日本の取り組みの嚆矢としてSFCの実験を見守りたい。
(遠藤和希)