12月5日・vs青山学院大 113-99 ○

大会4日目。5~8位決定戦では、天理大と拓殖大が勝ちきった。準決勝では、慶大と日大が勝ち、決勝へと駒を進めた。負けた青山学院大、東海大は、明日3位を掛けて戦う。

勝因となった4年生の意地

ポイントとなったのは3Q。前半を49-44と慶大が5点リードしていたが、後半開始早々、♯32中川、♯4小林高晃、♯16比江島の連続シュートで青山学院大が逆転する。しかし、直後に♯5小林大祐(福大大濠・4年)が連続3ポイントシュート、続いて♯11酒井(福大大濠・3年)も3ポイントシュートを決め、ここから慶大のペースに持ち込んだ。その後も連続して慶大のシュートが決まるなどし、♯4田上(筑紫丘・4年)がブザービーターを沈め、78-62と16点差で3Qを終了した。4Qで♯27宇田川、♯23湊谷が3ポイントシュートを決めるも、14点差をつけ決勝への切符を手に入れた。

この日の勝因ともなった♯4田上と♯5小林が試合終了のブザーと共に喜びを分かち合った。
この日の勝因ともなった♯4田上と♯5小林が試合終了のブザーと共に喜びを分かち合った。

(青学は)大ピンチになったときに3ポイント(シュート)を連続で決めるというチーム力を持っている」と佐々木ヘッドコーチが話すように、リーグ戦で青山学院大と戦ったときには、まさに外からのシュートに慶大は苦しめられた。そのため、今回は、特に3ポイントシュートを連発する♯5辻を♯4田上がマークするというミスマッチを利用して、阻止することに成功した。

「辻君(とのマッチアップ)には田上しかいない。もしかしたら、それが良かったのかもしれません。『俺が行きます』と言ってくれたから。さすがキャプテン」(佐々木ヘッドコーチ)

キャプテンである♯4田上が自ら名乗り出たが勝利を決めた大きな要因となっている。そんな♯4田上は、この試合になってようやく力を発揮できた。青山学院大戦以前の3試合を振り返ってみると、プレイに少し固さが感じられた。

「昨日の試合(中央大との準々決勝)でファウルトラブルをしてしまって、スタメンの周りのみんなが支えてくれて準決勝までこれたので、このままじゃ駄目だと思いましたし、最後のインカレで、もしも負けたら悔いても悔い切れないと思ったので、やるしかないと、みんなの後押しもあって思うことができた」(♯4田上)

とりわけ、この日は4年生の活躍が勝因と言っても過言ではない。チームの得点源である♯5小林。この日はディフェンスでも魅せてくれた。

「比江島君に20点取られると負けると思っていたので、(小林を)ずっと比江島君につけていました。(小林は)オフェンスをやりたくてイライラしてるんじゃないかな」(佐々木ヘッドコーチ)

♯5小林のディフェンス力で、♯16比江島の得点を15点におさえることができた。中央大戦でも♯4小野とマッチアップで、期待通りにおさえつけて、チームに貢献した。
ディフェンスに力を入れていたといっても、青山学院大戦ではポイントとなった3Qに連続3ポイントシュートを入れるなど、合計で39得点をあげており、シューターとしても魅せるプレイをした。

決勝に向けて―日大のバスケとは
連続する好プレイでチームに勢いをつけた日大・♯9篠山。
連続する好プレイでチームに勢いをつけた日大・♯9篠山。

決勝の相手は今年の関東大学バスケットボールリーグ戦(リーグ戦)で優勝を果たしている日大。しかし、慶大はリーグ戦で日大に2勝をしているが、リーグ戦に掛けて日大も成長を遂げており、慶大との優勝を掛けた一戦に向けて以下のように話している。

「うちのディフェンスができるかできないかで勝負が決まると思う。今日の東海大戦のように、またビハインドゲームになると厳しい。イーブンでスタートしたい」(日大・川島監督)

4Qでバスケットカウントを決めて東海大に逆転、日大に良い流れを送り込んだガードの♯9篠山は、「慶應(のプレイスタイル)、マッチアップも同じ感じがするので、ここまできたら自分たちのバスケットをやるしかないですね」と、特別に慶大を意識してのプレイをするというわけではなく、リーグ戦で培ってきた力を発揮したいという気持ちのようだ。日大のいう自分たちのバスケットとしては、ディフェンスである。「みんなで喋って、こういうディフェンスをすれば勝てるということをリーグで自信になったから、この1ヶ月でディフェンス、ディフェンスで精度を上げることができたと思います」と、慶大と同じく、インカレまで、ディフェンスに力を入れてきた。リーグ戦で、慶大が日大と戦ったのは10月3、4日、2ヶ月前のことだ。この2ヶ月間で両者がそれほど成長したのかが楽しみである。

優勝にこだわる意味

決勝を前に一つ伝えておきたいことがある。慶大が優勝にこだわる意味についてだ。リーグ戦の時から、佐々木ヘッドコーチは「インカレ3連覇」にこだわりを持っている。なぜ、そこまえこだわるのか。それは、海外チームに勝てる日本人にあったバスケとは何かを日本のバスケ界に示したいからなのだ。

「オールコートバスケの証明というか、走ることで、走って走って速い展開で勝つっていうところだったり、慶應っていう、みんなでやって勝つっていうスタイルが(優勝することで)正しいという証明になると思うので、(勝って)証明したい」(♯4田上)

今年の夏、佐々木ヘッドコーチに特別インタビューを行った際、「(日本のバスケを)変革させるためにまずは、ひたすら大学で勝ちますよ」と話していた。外国チームの対戦した時にでも通用し、かつ日本人にあったバスケットは「これなんだ!」ということを伝えたいという佐々木ヘッドコーチの熱い意志が表れている。この意志が選手にも伝わっているからこそ、慶大はここまで勝ち上がってこられたのだろう。そして、明日、慶大がやってきたバスケットが正しいと証明される試合になってほしい。

文:阪本梨紗子
写真:阪本梨紗子
取材:阪本梨紗子

<本日の写真>

♯4田上・3ポイントシュートで攻めてくる♯5辻を見事におさえた。
♯4田上・3ポイントシュートで攻めてくる♯5辻を見事におさえた。

♯5小林・準々決勝からディフェンスでもチームに貢献している。
♯5小林・準々決勝からディフェンスでもチームに貢献している。
プラカードで応援をする慶大。決勝戦へ。陸の王者となれるか。
プラカードで応援をする慶大。決勝戦へ。陸の王者となれるか。