慶大野手陣

 

慶大の予想先発オーダーである。慶大は、明大1回戦からスタメンは投手以外変えていない為、立大戦もこのメンバーで行くことが予想される。慶大の全体の打率は.244。明大、立大に次いで3番目となっているが、その2校が3割を超えていることを考えると、かなり厳しい結果となっている。

今年から1番に座る2年生の廣瀬隆太は、ここまでの6安打のうち5本が二塁打と長打力は抜群。打率こそ低いが、明大2回戦では2本の二塁打を放っている上、昨年の東大戦で2試合連続本塁打を放ったパワーもある。明大戦から大学では自身初のセカンドの守備に移った。守備での貢献も問われるところだが、まずは打撃で昨秋に首位打者争いをしたスーパー2年生の完全復活に期待したいところだ。

そんな廣瀬と入れ替わる形で今季2番に座る渡部遼人は、今年も守備で魅せる。俊足を活かした六大学随一の守備範囲を誇る渡部だが、毎週のように浅いセンターフライをスライディングキャッチするシーンが目立っている。打撃はまだ本調子とは程遠いが、守備での貢献も含めると慶大野手陣の中で大きすぎる存在だ。

3番に座るのは今季から3番に定着した萩尾匡也。昨春の明大戦で、今季のエースである竹田から初打席初本塁打の鮮烈な神宮デビューを飾ったスラッガーだ。魅力は長打力と脚力。東大2回戦では、セーフティバントも決めている。

4番はもちろん今年も正木智也が座る。神宮ラストイヤーの今季は未だ打率.200と苦戦している正木だが、得点圏打率は.375で東大2回戦ではチャンスで本塁打も放っている。また四死球はリーグ最多の8。出塁率はリーグ10位の.429。打率以上に、各大学の投手陣が警戒していることが伺える。

5番には下山悠介。打率はここまでリーグ5位タイの.391。慶大野手の中では最も高い。出塁率も4割を超える記録を残しているが、得点圏打率が.222とやや低い。クリーンナップとしてチャンスでランナーを返せるかが重要になってくるだろう。

今年から6番・ショートを守るのは朝日晴人。第2先発を担う増居と同じ彦根東出身だ。法大2回戦で初安打を放ったあと、明大戦、東大戦では12打数5安打と打率は4割を超えている。

7番に座るのは橋本典之。小柄ながら思い切りのいい打撃が特徴の選手だ。2年前、現広島東洋カープの明大・森下投手からサヨナラタイムリーを放った実績もある。昨春の早慶戦でも勝ち越しのタイムリースリーベースを放った、勝負強さの光る好打者だ。

8番には正捕手で主将の福井章吾が座る。昨年は春秋ともにベストナインを獲得した実力者はここまで打率は.273。通算打率では3割を超える成績を残している。明大1回戦ではタイムリーツーベースも放った勝負強さも魅力だ。正捕手として投手をリードするだけでなく、主将としてもチームをまとめながら、打撃でもチームを引っ張っている。

下級生から出場している選手が多く経験値と実力は申し分ない打線だ。あとは、早い段階で立大の先発が予想される池田陽をどう攻略するかが勝負の分かれ目になってくるだろう。

 

 

立大野手陣

一方、立大のフルスイング打線は今年も健在。ここまで本塁打は5本と明大に続いてリーグ2位だ。今季はそのフルスイング打線に確実性が加わった。昨秋.225だったチーム打率は今季、現時点で.313とこれも明大に続いてリーグ2位の数字となっている。

好調立大打線の4番を担うのは山田健太(3年・大阪桐蔭出身)。 1年から立大の4番で出場し続けている山田は、ここまで打率は.391とリーグ5位タイ。恵まれた体格から鋭い打球を放ち安打を量産。通算安打数は49と慶大・正木を抜いて遂に現役選手の中で1位となった。また今季は得点圏で次の打者に繋ぐバッティングが光る。ここまで得点圏打率は.429だ。

5番の東怜央(4年・福岡大大濠出身)は、今季6試合中、4試合で決勝点を挙げる活躍ぶり。立大打線でもっと脅威になるといっても過言ではない。リーグ2位タイの2本塁打を放つ長打力を持ちながら、得点圏打率は.400。何よりもビハインドの場面で逆転の決勝打を叩き出す、六大学今季随一の勝負強さを持つ。この打者を押さえないことに、慶大の優勝はないだろう。

しかし、東を抑えても油断できないのが今季の立大打線。6番を打つ宮﨑仁斗(3年・大阪桐蔭出身)が今季絶好調だ。長打力と出塁率をあわせた打者の攻撃力を示すOPSという指標ではリーグ1位の1.232。1.000を超える打者が強打者と呼ばれる中で、素晴らしい数字を残している。なんといっても宮﨑の強みは足。50m6秒前半の俊足を生かした走塁や盗塁も警戒が必要だろう。塁に出すと厄介な存在であることには間違いない。また今季の得点圏打率は.500。慶大はチャンスでこの強打者3人に回さないよう、慎重に試合を運びたいところだ。

3人の他にも、初スタメンの法大1回戦の1打席目で法大のエースで主将・三浦からランニング本塁打を放った、立大のリードオフマン・道原慧(3年・駒大苫小牧出身)はここまで打率3割越え。盗塁も3つ成功させており、警戒が必要だ。また、3塁ランナーコーチの本塁を狙う走塁意識も注意が必要だろう。また2番に入る井上剛(3年・佐久長聖出身)は立大の守備職人だ。今季から正ショートとして華麗なグラブ捌きを見せている。また今季から正捕手に座る黒岩陽介(3年・静岡出身)の果敢にインコースに攻める強気なリードにも注意が必要だ。

 

 

まとめ

ここまで先発は防御率リーグ1位の森田と2位の増居擁する慶大が有利である。一方中継ぎ、打線では立大の方が好調だといえるだろう。どちらが勝ってもおかしくない今季の慶立戦。2016年秋季リーグ戦から大きく勝ち越している慶大であるが、油断は全くできない。データを使って長々と話してきたが、何が起こるかわからないところに学生野球の魅力が詰まっている。4年ぶりの優勝を狙う立大、2年ぶりの優勝を狙う慶大。上限5,000人ではあるが、選手たちの熱い戦いをぜひ、神宮球場に足を運んで見届けてほしい。

2019年秋季リーグ戦 当時1年生の生井と増居

 

 

 

(山本結以)